2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

怪盗ムーンライト

22
すり替えられたダイヤ、『ルパンの涙』が偽物と判明した翌日。
『怪盗ムーンライト特別捜査本部』へと向かう1人の女がいた。
彼女は肩より長い金髪をサラサラとなびかせ、その意志の強さを物語るような
瞳は青かった。白いシャツにタイトなスカート。スラリとした美しい脚線は、
特別捜査本部への廊下を小気味よく歩いていく。
そんな彼女の瞳に、前から歩いてくる望月カンナの姿が映った。
「sorry……」
「はい、なんでしょう」
カンナは署内では見慣れない外人に、ちょっと緊張しながらも応えた。
「ムーンライトの捜査本部って、このフロアでいいのかしら?」
「はい。それでしたらもう少し先ですけど……、えぇっと、あなたは……?」
「あたしはジェシカ・アンダーソン。ムーンライト逮捕のために、ICPOから
ここに派遣されてきました」
「あ、あいしーぴーおー? ……って。あっ、どうぞ、こちらです」
カンナは踵を返すと、ジェシカ・アンダーソンを捜査本部へと案内した。

「り、竜胆さん、ICPOから、ジェシカ・アンダーソンさんがお見えです」
「ICPO?」
その声に竜胆が振り返った。その視線はカンナの後ろに立つ、金髪女性に注が
れている。
「はい、こちらが……」
「ジェシカ・アンダーソンです」
歩み寄るジェシカに、竜胆が立ち上がった。
「竜胆です。よろしく」
「あなたが竜胆。ムーンライトに2度も逃げられたという……」
「はぁ?」
竜胆の目が、ジェシカを睨みつけた。
「3年前と今回。今回はあたしの到着が遅れなければ……。本当に残念です」
「なぜ遅れたのです」
「NYで起きた連続射殺事件の犯人が、人質を取って立てこもっていたもの
で。現場の指揮を執らねばなりませんでした」
「なるほど。で、ちなみにその犯人は」
「狙撃部隊により射殺されました。わたしの指示です」
「そうでしたか……。ムーンライトは人を殺しません」
「しかし必要とあらば、狙撃、射殺もやむをえないでしょう。私はいつでもそ
のつもりですし、それがquick」
「quick……?」
「手っ取り早い。なにもヤツにむざむざと、国宝級の絵画や宝石を盗ませておく手はない」
「しかし……」
「チャンスがあるならさっさと終わらせたい。こんなTagは」

2人のやりとりを聞いていたカンナは、いつの間にか隣に来ていたヒロミに気
が付いた。
「あっ、ヒロミさん。聞きました? 今の」
「うん。聞いたわ」
「Tagってなんです?」
「そっち? Tagは鬼ごっこのことよ」
「鬼ごっこかぁ。そういえばヒロミさんも前にそんなこと言ったことありまし
たよね。鬼ごっこを終わらせたいとかって」
「でもあたしは射殺なんて考えてない。それにあたしが言ったのは、色々な事
件が起きる中で、ムーンライトだけ追いかけていられないって意味で……」
「そうですよね、なにも射殺することないですよね」

「とにかくここは日本。相手が銃を携帯しているならともかく、丸腰の相手に
射殺はありえない」
「だから2度も逃げられたんじゃなくて? 竜胆」
竜胆は青い瞳と睨み合った。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土