怪盗ムーンライト
13
犯行日(5月1日)の約1週間前。
警察が警備の増強を図る中、七海美術館館長の赤水七海と、職員の中野奈緒子
は、3階の館長室で2人きりで窓辺に立っていた。
時刻は夜9時。窓の外には漆黒の闇が拡がっている。この時間には他の職員も
警察も、全ての人間が引き払っていた。
「今回は捕まりますかね。館長」
「どうかしら? また逃げられそうな気がするわ」
「でも警察の竜胆って刑事さんは、今回は猫の子1匹通入れず、アリ1匹出さ
ない完全包囲網だって、言ってましたよ」
「でも相手は神出鬼没の大怪盗よ。世界中に知られるその名前は伊達じゃない
と思うけど」
「それじゃ、館長は捕まらない方がいいんですか?」
「そんなことないけど……。いつも向こうが一枚上手だから、また今回もって
思うのよ」
「まぁ、その辺は確かにそうですね。ムーンライトが現れてからこの10年。ま
だ1度も捕まったことないんですものね」
「そんなことより、奈緒子。久しぶりに……、どう? 」
「もう、館長ったら……」
「だって、明日は休館日だからゆっくりできるじゃない」
館長がカーテンを閉めると、2人は窓辺を離れソファに移った。
奈緒子が余計な灯りを消すと、2人は立ったまま抱き合いキスをした。そして
互いに服を脱がしあった。
10畳程の室内は、エアコンが適度に調節され、服を脱いでも寒さを感じるこ
とはない。
今年45歳になる七海は、下着だけになると先にソファに腰掛けた。
四十路も半ばとはいえ、七海の体は締まるところは締まり、熟れた肉ながら
も、その胸はまだ充分に張りがあり、組んだ足は妖艶なまの脚線を見せた。
奈緒子もブラとショーツだけになり、奈緒子に寄り添うように座った。
こちらは三十路までまだ3年はある体だ。七海と比べればその違いは歴然だ。
しかし女の色艶といった点では、七海のそれに一歩譲る。
「今夜はどうして欲しいの? 奈緒子」
隣に座った奈緒子の肩を撫でた。
「もう、分かってるクセに……」
「だめっ、ちゃんと口で言いなさい」
七海の手は、奈緒子の肩から二の腕を往復している。
それだけで彼女の腕には鳥肌が立った。
「は、はい……。イジ……、メテ……」
「もっとちゃんと、ハッキリ言ってごらんなさい」
そう言って奈緒子に顔をグッと近づける。
「イジメテ、下さい」
「そう、虐めて欲しいのぉ。この体、オモチャにしていいの?」
「はい……」
「どんなふうに虐めて欲しいの?」
「この前みたいに……」
「この前はどんなことされたんだっけ? 教えて……」
「この前はこのテーブルに縛られて……」
奈緒子は恥ずかしそうに俯いた。
犯行日(5月1日)の約1週間前。
警察が警備の増強を図る中、七海美術館館長の赤水七海と、職員の中野奈緒子
は、3階の館長室で2人きりで窓辺に立っていた。
時刻は夜9時。窓の外には漆黒の闇が拡がっている。この時間には他の職員も
警察も、全ての人間が引き払っていた。
「今回は捕まりますかね。館長」
「どうかしら? また逃げられそうな気がするわ」
「でも警察の竜胆って刑事さんは、今回は猫の子1匹通入れず、アリ1匹出さ
ない完全包囲網だって、言ってましたよ」
「でも相手は神出鬼没の大怪盗よ。世界中に知られるその名前は伊達じゃない
と思うけど」
「それじゃ、館長は捕まらない方がいいんですか?」
「そんなことないけど……。いつも向こうが一枚上手だから、また今回もって
思うのよ」
「まぁ、その辺は確かにそうですね。ムーンライトが現れてからこの10年。ま
だ1度も捕まったことないんですものね」
「そんなことより、奈緒子。久しぶりに……、どう? 」
「もう、館長ったら……」
「だって、明日は休館日だからゆっくりできるじゃない」
館長がカーテンを閉めると、2人は窓辺を離れソファに移った。
奈緒子が余計な灯りを消すと、2人は立ったまま抱き合いキスをした。そして
互いに服を脱がしあった。
10畳程の室内は、エアコンが適度に調節され、服を脱いでも寒さを感じるこ
とはない。
今年45歳になる七海は、下着だけになると先にソファに腰掛けた。
四十路も半ばとはいえ、七海の体は締まるところは締まり、熟れた肉ながら
も、その胸はまだ充分に張りがあり、組んだ足は妖艶なまの脚線を見せた。
奈緒子もブラとショーツだけになり、奈緒子に寄り添うように座った。
こちらは三十路までまだ3年はある体だ。七海と比べればその違いは歴然だ。
しかし女の色艶といった点では、七海のそれに一歩譲る。
「今夜はどうして欲しいの? 奈緒子」
隣に座った奈緒子の肩を撫でた。
「もう、分かってるクセに……」
「だめっ、ちゃんと口で言いなさい」
七海の手は、奈緒子の肩から二の腕を往復している。
それだけで彼女の腕には鳥肌が立った。
「は、はい……。イジ……、メテ……」
「もっとちゃんと、ハッキリ言ってごらんなさい」
そう言って奈緒子に顔をグッと近づける。
「イジメテ、下さい」
「そう、虐めて欲しいのぉ。この体、オモチャにしていいの?」
「はい……」
「どんなふうに虐めて欲しいの?」
「この前みたいに……」
「この前はどんなことされたんだっけ? 教えて……」
「この前はこのテーブルに縛られて……」
奈緒子は恥ずかしそうに俯いた。