【32】水の仮面のハサミが、細い肩紐に噛みつきました。「いやっ、いやよっ……、やめてっ、やめてぇ」佐智枝さんはハサミから逃れようと、必死に体を捻っています。「うふふっ、最後の悪あがきかしら?」そしてハサミは無情にも、シャキっという小さな音と共に、肩紐を食い千切ったのです。「いやぁぁ!」命綱を切られたブラは、上着の切れ目に引っ掛かるようにして、奇蹟的に下には落ちませんでした。ハサミが更にもう一方の肩紐...