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あなたの燃える手で

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ざくろ荘物語

15
ざくろ荘101号室に住む『安藤すみれ』は、夢の森女子学園大学(通称:夢
女)に通っている18歳だ。
隣の102号室には、同じく夢女に通っている『榊 桃子』がいる。彼女も18歳
の同い年で、2人はお互いを「桃子」「すみれ」と呼び合っている。

そしてこれはこのアパートにして奇跡的なことだが、実は桃子はノンケだっ
た。ノンケとは、同性愛者ではない。その気がないという隠語だ。あえて書く
なら『non気』と書けば判りやすいだろうか。
しかし、そんなノンケの桃子のことを、すみれは好きだった。
でもどうして、よりによってどうして桃子がノンケなのか……。
目をつぶれば桃子の唇がそこにあり、キスをして、抱き合って、そしてベッド
で……、どれだけそんな妄想を繰り広げたか判らない。
しかし、現実は甘くない。目を開ければやっぱり桃子はノンケなのだ。
だからといって仲が悪いわけではない。普通に友達としては付き合っている。
桃子にしてみれば "付き合っている" だが、すみれにすればこんな自分に付き
合って "貰っている" といった気持ちが大きい。
ちなみにすみれは桃子が、いや、このアパートの住人が自分以外すべてレズ
なのを知らない。
すみれにとって桃子は、近くにいながら距離を感じる。そんな存在だった。


そんなある日、すみれは夢の森駅の西口を出た。バスターミナルを歩き、そこ
から見える商店街で用事を済ますと、フラリと「アマデウス」というカフェに
立ち寄った。
まだ寒いこの季節に、温かな店内はスミレをホッとさせた。
すみれは商店街が見える4人掛けのテーブルに席に座った。するとミニから綺
麗な脚を見せたバイトの子が注文を取りに来た。
「いらっしゃいませぇ」
「えぇ~っと……、ブレンドください」
いつもならケーキも頼むところだが、今日はなんとなく気分じゃない。
「ママ~、ブレンドでぇーす」
そう言いながらバイトの子が厨房に消えた。そして1分もするとブレンドが運
ばれてきた。
「ブレンドでぇーす」
彼女はなんとなくすみれにすり寄るように近づくと、カップをテーブルに置い
た。すみれの目の前に彼女の太ももが迫り、チョット胸がときめいた。
「ごゆっくりどうぞ……」
そう言ってすみれを見つめた。その目にスミレは自分と同じ匂いを感じ取って
ていた。
彼女はそれだけ言うと厨房の奥へと消えた。

すみれがブレンドを一口啜ったとき、ある1人の女性に気が付いた。
彼女は商店街からガラス越しに、自分に向かって大きく両手を振っている。
「えっ、林檎さん……?」
それはざくろ荘にの103号室に住む、『橘 林檎』だった。
すみれが気が付くと、今度は右手の人差し指を伸ばし1人? と聞いている。
すみれは彼女の問い掛けに大きく頷いた。
林檎は大きな口でニッコリ笑うと、店のドアをへと歩き始めた。
「いらっしゃいませぇ」
すみれと林檎のやりとりを見ていたのか、バイトの子はもう水を持って待機し
ている。
林檎はバイトの子を従えるように、すみれに向かって早足で歩いてきた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土