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あなたの燃える手で

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保健室にいらっしゃい

第4話:国語教師 『加藤敏恵』

【4-1】
駅前でバスを降りると、雨はみぞれ混じりの雪に変わっていた。
桃華は凍える体を温めようと、前から行こうと思っていた「カフェ・アマデ
ウス」へと足を向けた。
アマデウスは、ココから幹線道路の横断歩道を渡った商店街の入口にある。
既に青に変わっている横断歩道を渡っていくと、ソコに見覚えのある後ろ姿を
見つけた。それは夢高の国語教師 「加藤敏恵」だった。
彼女は赤い傘を差し、肩より長い黒髪を揺らしながら、10メート程前を歩い
ている。
走って追いつこうとする桃華を、既にぬかるみ始めた雪が許さなかった。
桃華が横断歩道を渡り終わる頃、彼女は商店街の裏道へと姿を消していた。
「裏道? 一体どこへ……」
興味をそそられた桃華は予定を変更し、アマデウスの前を通り過ぎると裏道へ
と入った。

暫く歩くと、彼女の傘に見え隠れして「夢の森シネマ」の看板が見えた。
ココは単館上映専門の古い小さな映画館だが、1度も入ったコトはない。
今も何やらフランス映画を上映中のようだが、ココからその看板の文字を読み
取ることは出来なかった。
すっかり映画を観るものと思い込んでいた桃華の予想を外すように、彼女が立
ち寄ったのは、その手前にある小さな書店だった。

看板に「黒百合書房」と書かれたその書店を、桃華は始めて覗いた。
その広さは坪数にして、広く見積もってもせいぜい5坪程度だ。
所狭しと並んだ本は天井近くまであり、よく見ればその半分以上が成人図書
で、奥のレジには何やら妖艶な熟女が座っている。
そんな店の奥、官能小説の並んだ前に加藤敏恵は立っていた。そして1冊の本
を手に取ると、それを持ってレジへと歩いた。
桃華はそれを見ると傘をたたみ、店内へ入った。


「加藤先生……」
「えっ? あっ……」
彼女は驚いたように振り返り、目を丸くしてあたしを見た。その手は熟女に本
を渡している。
「栗山先生……」
「そういう本、お好きなんですか?」
「あぁ、えぇ、まぁ……」
レジに座る熟女は受け取った本を見ると、ネットリと絡みつくよう視線を彼女
に向けた。
「この二階堂月子って作家、最近人気が出てきましたねぇ」
「そ、そうなんですか?」
「この最新作の『妖女の瞳』っていうのは、"週刊じゅげむ" で連載してまして
ね、なかなか好評だったんですよ。特に女同士の絡みがね、とっても艶めかし
くて、まるで実体験のようだってね」
熟女の視線が熱く彼女を見た。その瞳はまさに妖しい光を湛えている。
彼女は少し慌てたように財布を出すと、二千円を熟女に渡した。
「はい、ありがとうございます」
熟女の視線が彼女越しにあたしに向けられた。その目はあたしの性癖を一目で
見抜いたのか、"この人を可愛がっておあげ" と言っているようだった。

あたし達は店を出ると傘を差し、すっかり暗くなった裏道を並んで歩いた。
「あのう、栗山先生。あたしがこういう本を買ったことは、誰にも……」
「えぇ、もちろん。でも以外でした。まさか加藤先生が官能小説をお読みにな
るなんて。どちらかというとお堅いイメージでしたのに」
「そんな、お堅いだなんて……」
「その作家、女同士の絡みが秀逸だそうで。その辺もお好きなんですか?」
「えっ、それは……」
「先生、明日の放課後、保健室にいらっしゃいません? あたしでよろしけれ
ば喜んで……」
そう言ってあたしは、彼女の冷たい手を暖めるように握った。


翌日、比較的遅い時間。保健室のドアが2度ノックされた。
そして遠慮がちにドアが開けられ、加藤敏恵が姿を現した。
水色のシャツの襟を覗かせたキャメルのセーターの下で、大きな胸がプルンと
揺れる。アイボリーの膝丈のスカートの下は、スベスベとした生脚だった。

「あっ、加藤先生」
「あのう、昨日とコトは……」
「大丈夫、誰にも言いませんから……」
「……はい」
あたしは彼女をベッドに腰掛けさせた。
すると彼女は、少し暑そうにセーターを脱いだ。そして髪を両手で後ろに流
し、背中へと垂らした。
よく見れば彼女のシャツの第2ボタンが外れ、胸の谷間が少し覗いている。
スカートから見える太腿は少し開き、柔らかそうなその内側が見えた。
しかしそれは彼女の計算だったと思う。
その証拠に彼女はあたしを見ながら、下唇をネットリと舐めたのだから。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土