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あなたの燃える手で

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こちら夢の森探偵社

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50メートルほど前に、総合公園の入口が見える。
入口から程ないところに、ライトアップされた「夢の森教会」が見える。
怖くて後ろを振り向くことが出来ないが、ストーカーの気配は消えていない。
「もしもし、エマさん。もうすぐ総合公園に着きますけど……」
「判りました。総合公園に着いたら、教会まで歩い下さい。そして入口にある
門柱の影に隠れて下さい」
エリは僅かに早足になると、路肩に止められたクラッシックカーの横を通り過
ぎ、教会の門柱の影に隠れた。
「もしもし、隠れました」
「そのままそこで、ストーカーをやり過ごして下さい」
エリは隠れたまま見るコトは出来なかったが、門柱の横を誰かが通り過ぎてい
くのは判った。
「エマさん、今、今誰かが……」
「しっ! 静かに」
「……」
「いいですかエリさん」
「はい……」
エリは声を潜めて答えた。
「その門柱から、車が見えますか? 小さなクラッシックカーです」
「小さなクラッシックカー……? あっ、はいっ。見えます」
「そうですか、良かった。わたしはそこにいます」
「えっ? あの車の中に?」
「そうです。わたしはそこにいます」
エリは一心にその車を見つめた。
「エマさん……」
「さぁエリさん。そこからこの車まで走ってきて下さい」
「えっ? そこまで走るんですか?」
「そうです」
「でも、そんなコトしたら……、ストーカーに見つかっちゃいませんか」
「大丈夫、それが狙いですから」
「判りました」
エリは意を決したように、クラッシックカーにいるエマに向かって走った。
そして助手席に転がり込むように乗り込んだ。
「あぁ、エマさん」
必死のエリを、エマの優しい笑顔が出迎えた。
「今日1日よく頑張りましたね、エリさん。そのおかげで、うまくエサに掛
かってくれたようです」
「えっ?」
「あなたが全ての誘いを断り、映画を見るコトを知ったストーカーは、必ず現
れると思っていました」
「どうしてですか?」
「全ての誘いを断り映画を見る。ストーカーはきっとあなたのことが気になっ
たハズです。映画? 誰と? ストーカーはエリさんの全てを知りたいと思っ
ている。ところが自分の知らない一面を見つけてしまった」
「それで今夜、あたしのコトを……」
「でもここからです」
「えっ? ここから?」
「昨日も言いましたが、あなたにとって嬉しい情報ばかりではないのです」
「それって……」
そこまで言いかけたとき、正面の暗い道をストーカーが戻ってきた。
エリは両腕をエマの片腕に巻き付け、彼女にもたれ掛かった。
エマは相手の服装を確認すると、車のヘッドライトを点灯させた。
その光の中に、1人の人物が照らしだされた。
「えっ? あれは……、なんで? どうして?」
「そうです。あれがストーカーの正体です、エリさん」
立ち止まったその人物を見ると、2人は車から降りた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土