2ntブログ

あなたの燃える手で

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こちら夢の森探偵社

26
「どう思います? エマさん。やっぱりストーカーは楓……、じゃないかなっ
て思うんですけど」
リンダが事務所で、机に向かうエマに問い掛けると、彼女は両手をキーボード
に置き、PCを見たままで答えた。
「しかしだなリンダ。楓は既に北島奈美と関係まで持っているわけだし、ス
トーカーなんて面倒なことをしなくてもイイわけだろう」
「はぁ、まぁ、それはそうなんですけど……」
「だったら……」
「でも、それじゃ一体誰が……」
「それを調べるのが我々だろう。今日の不安を明日の安心に。愛の疑問解決し
ます。誰かを憎むその前に、あなたをしっかり支えます。光あふれる明日のた
めに。と広告で銘打っている以上、君も頑張ってくれたまえ」
「自分で考えたとはいえ、よくそれだけスラスラと……」
「とにかく、北島奈美に関しては何枚か写真も撮ってある。リンダ、君さえ良
ければ、楓という女に貼り付いてみるか……」
「本当ですか? イイですか? 貼り付いても」
「勿論」
「よぉ~しっ。それじゃアイツを尾行して。ストーカーの決定的瞬間を撮って
やる」
「気をつけろよリンダ」
「はっ? 何がですか?」
「ミイラ取りがミイラにならないようにだよ、リンダ。君の話から察するに、
彼女は "切れる大人の女" っといった感じを想像する」
「だから?」
「君はまだ子供だと言うことだ、リンダ」
「うぅ~ん、とにかくあたし明日から、楓をマークしますから……。いいです
ね、エマさん。もう取り消せないですよ」
「まぁ、コレも社会勉強だと思って、好きにしたまえ。くれぐれも言っておくが、ミイラ取りがミイラに……」
エマが椅子を回してリンダの方を向いた時、もう彼女はそこにいなかった。

翌日、リンダは「Bar MELLOW BLUE」で楓を待った。
しかし彼女は現れず、翌日も、その翌日も彼女は姿を見せなかった。
すっかり肌寒くなった最近は、リンダもTシャツの上から黒い革ジャンを着る
ようになっていた。
「あぁーあっ、この革ジャン着るようになってから、どうもついてないなぁ」
そうして彼女に会えぬまま、1週間が過ぎようとしていた金曜日の夕方、よう
やくリンダは楓に会うことが出来た。
場所は、「Bar MELLOW BLUE」のカウンターだった。

リンダは店に入ると革ジャンを脱ぎ、カウンターの椅子に腰掛けた。
革ジャンを二つ折りにして隣の椅子に置くと、黒いTシャツ姿になりブルーの
ジーンズを履いた脚を組んだ。
「いらっしゃいませ。何にいたしましょうか?」
確かLとか呼ばれていたバーテンダーが、リンダの前に立った。
「えぇ~と、ハイボールと ”ドライフルーツとクリームチーズのサラダ” 」
「かしこまりました」
丁寧にお辞儀をすると彼女はその場を離れ、ドリンクとサラダを作り始めた。
その時、入口のドアが開き、楓が姿を見せた。
楓は既に常連になったのか、Lにニッコリと微笑むと、リンダの革ジャンを置
いた椅子のとなりに座った。

「き、来た。いざ会うと緊張するなぁ~」
「お待たせしました、ハイボールと ”ドライフルーツとクリームチーズのサラ
ダ” です」
Lがハイボールのグラスと、サラダを入れた皿をリンダの前に置いた。
楓がそれをチラッと横目で見た。
「あらっ、それ美味しそうね。何ていうの?」
楓はそう言いながら、リンダに微笑みかけた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土