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あなたの燃える手で

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こちら夢の森探偵社

22
北島奈美が、楓というSっぽい女とホテルの10階の部屋に消えた週末、リン
ダは夢の森シネマにいた。小さな映画館に、客は30人も入っていない。

リンダの座った席の5列前には、奈美とエリが座っている。
エリは右に座った奈美に寄り掛かり、彼女の肩に自分の頭を乗せていた。
上映されているのは、『シェルブールの薔薇』というタイトルのフランス映画
だ。内容は、夫の浮気を知った妻が夫を殺害し、自宅の庭に埋める。その上に
薔薇を植えて大切に育てるという話だが、何故この映画を2人で観ようと思っ
たのか、リンダは理解に苦しんだ。
「教師と生徒。お二人がどんな仲かは知りませんけどね。観ますかね? こん
な映画。取り敢えず近場で済ませたってワケ?」
リンダは右手に摘んだポップコーンを口に放り込んだ。

映画は終わりに近づいていく。
犯人の妻の家に数人の警官が乗り込んできた。主人公の刑事がずさんな手入れ
の庭に出て、死体を埋めた上に咲いている赤い薔薇を見ている。
他の薔薇は枯れているのに、何故かその薔薇だけが生き生きと真っ赤に咲いて
いる。刑事が部下を呼んだ。
駆けつけた部下が、数人でその薔薇の根元をスコップで掘り返し始めた。
妻はバルコニーからそれを見ている。
やがて夫の死体が見つかり、妻に手錠が掛けられた。

リンダはポップコーンが空になると、残ったコーラを飲み干した。
スクリーンではボサノバ調の曲に載せて、エンドロールが始まっている。
奈美とエリが立ち上がり、出口へと歩いていく。
2人の姿が見えなくなると、リンダも立ち上がり出口へ向かう。
外に出ると、空は暗くなっていた。
館内から吐き出されたまばらな客は、明るい夢の森商店街へと散っていく。
そんな中、奈美とエリは駅に背を向け、商店街を住宅地へと歩いていった。
2人はリンダの尾行にも気付かず、水色のアパートへと入っていく。
「あらっ? あそこは……?」
2人が部屋に入ると、リンダはそのドアの前に立った。そこには『若村』と書
かれた表札がある。
「若村って、エリちゃんの部屋……、ふぅ~ん、ここに住んでるんだ」
リンダはアパートの裏に駐車場を見つけると、そこからエリの部屋を見た。
その瞬間、窓にカーテンが引かれた。もう中をうかがい知るコトは出来ない。
「今日はコレくらいにしときますか」
リンダは駐車場を出ると、1人駅へと向かって歩き始めた。


「あの映画どうだった? エリちゃん」
「なんかイマイチでした。先も読めちゃうし、そんなに怖いわけでもないし」
エリはカーテンを閉めながら、奈美に背を向けたまま言った。
「あら、そんなコト言って、あたしの手ずぅ~っと握ってたクセに」
「それは……、その……。でも奈美先生と映画が観れて良かったです」
エリは振り返ると、奈美の隣に歩み寄った。
「あたしの方がよっぽど怖かったりしてね、エリちゃん」
奈美はエリを抱き寄せると唇を重ねた。スグに唇が開き、2枚の舌がネットリ
と絡み合う。
「虐めて欲しい? エリ……」
「はい、虐めて下さい。この前みたいに……」
「うふっ、可愛い。それじゃ先にシャワー浴びましょう」
エリは黙って頷いた。

数十分後、エリは全裸でベッドに横たわっていた。
そのエリを、ベッドの脇に立った奈美が見下ろしている。
「今日はこんなモノ持って来たのよ……。ほらっ」
奈美は右手に持った黒いバイブと革の首輪をエリに見せた。首輪の左右には同
じ革の手枷が、銀色のリングで繋がっている。
それは先日、学長室で琴絵と会った時に、こっそり拝借したモノだ。
奈美は妖しく微笑みながらベッドに上がり、エリの上に重なった。2人の体温
が混ざり合う中、何度もキスを繰り返した。
「今夜はコレで虐めてあげるわ」
奈美は艶々としたその黒いバイブを、もう1度エリに見せた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土