2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

クレオパトラの微笑み


翌週の木曜日。あたしは「クレオパトラ」に予約の電話を入れた。
電話口に出たのは青山さんだった。
「はい。明日金曜日、19時ですね。……大丈夫ですよ」
「えぇっと、今度はボディコースを……」
「はい、ボディコースだと¥12.000になります」
「はい」
「それでは明日19時に、お待ちしております」
「はい、お願いします……」
あたしは携帯を閉じるとバッグにしまった。
胸が高鳴っているのは何故? 
あたしが想像していることなんか起こるハズなんか無いのに……。
そんなことわかりきってる。それでも、胸の高鳴りは治まらなかった。

そして金曜日の19時、あたしはあのマンションの1010号室の前に立った。
チャイムを押そうとすると、また中から鍵が開きドアが開いた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。真中様」
彼女はあの微笑みで深々と頭を下げた。
「どうぞ中へ……」
あたしは導かれるまま、甘い香りで満ちた廊下を彼女の後について歩く。
彼女はこの間入った部屋の前を通り過ぎ、廊下の一番奥にある部屋の前で立ち
止まった。
「こちらでございます。真中様」
そう言って彼女はそのドアを開けた。
その途端、何かの民族音楽のような、ゆったりとした音色があふれ出た。
その部屋は家具や置物が金色に統一された、まるでエジプトをイメージしたよ
うな部屋だった。ただ、部屋の中央に置かれたベッドだけが、無機質な場違い
の雰囲気を醸している。
部屋の中はエアコンが効いていてとても暖かい。
「本日はお試しコースをお申し込みいただき、ありがとうございます」
そう言いながら、ドアを静かに閉めた。
「あっ、はい……」
「真中様、またお会いできてとっても嬉しいです。今日はお時間もタップリあ
りますから。どうぞ、ゆっくりとおくつろぎ下さいね……」
「えぇ、ありがとう。青山さん」
「あっ、名前覚えていてくれたんですね、真中様。嬉しいです。……この音
楽、チョット音が大きいですね。もう少し小さくします」
彼女は背を向けボリュームを落とした。
綺麗な白い太腿が艶めかしく目に焼き付く。
そして赤いフレームのメガネを、指先でチョット上げながら振り返った。
「それでは真中様、そちらで服を脱いでシャワーを浴びていただけますか。シャワーを浴びたら、またコチラにいらして下さい。あっ、それから下着はコ
レを着けて下さいね」
彼女は用意してある、この店の新しい白いショーツを渡した。でもそれは
チョット小さそうだった。
「はい……」
バスルームへは、この部屋から直接行けるようになっていた。
彼女に言われた通りバスルームの前で服を脱ぐと、あたしはシャワーを浴び、
真っ白なバスタオルを巻いて部屋に戻った。
「寒くないですか?」
「大丈夫です。この部屋、とても暖かいから」
「そうですか。それでは……、ベッドに俯せになって下さい」
「タオルは……」
「こちらでお預かりします」
彼女は蕩けるように微笑むと両手をあたしに伸ばた。
あたしはバスタオルを、その伸ばした両手に渡した。
そしてショーツだけでベッドに俯せになると、両手で枕を抱えた。

何故だろう。あたしの体を見つめる彼女の視線を、痛いほど感じる。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土