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あなたの燃える手で

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クレオパトラの微笑み


あたしが部屋に入ると、後ろでドアの閉まる音がした。
「本日はお試しコースをお申し込みいただき、ありがとうございます。真中様
の施術をさせていただきます、青山と申します。よろしくお願い致します」
彼女は深々と頭を下げた。ライトブラウンの髪が肩から胸元に滑り落ちる。
「よろしくお願い致します」
あたしは軽く会釈を返すと改めて彼女を見た。
歳は27歳のあたしと同じぐらいかしら。淡いピンクの半袖の白衣から、絹肌
の腕が伸び、その指先は若葉色のオイルの容器を持っている。
張りのある大きな胸にくびれた腰。下はこういうトコロってパンツを履いてい
るもんだけど、ここはどういうワケかスカートだった。
それも膝上のミニスカート。女同士だからイイのかもしれないけど、それにし
ても綺麗な脚。太腿から足首にかけて、女のあたしでもウットリするくらいし
なやかで柔らかく締まっている。
「真中様、こちらに横になってください」
上着を脱ぐと、8畳ほどの部屋の真ん中にある、施術用の小降りのベッドにあ
たしは仰向けになった。枕元のサイドテーブルには、色々なオイルの瓶が並べ
られている。そのどれもがグリーン系の色だった。
彼女は右手の人差し指で、メガネのフレームをチョット押し上げると、その手
にタオルを持った。
「お試しコースは、お顔の方だけ施術させていただきます」
「……はい」
彼女はそう言うとベッドの頭の側に移動し、あたしの視界から消えた。
そしてあたしの顔だけが出るように頭にタオルを巻き、シャツのボタンに手を
掛けた。
「失礼します」
彼女の指があたし第2ボタンを外し、胸元を広げた。そしてオイルの瓶を手に
取った。
「それでは、始めさせていただきます」
「……」
彼女の柔らかな手が、あたしの顔をマッサージしながらオイルを塗り伸ばして
いく。丁度いい力加減のマッサージにあたしは夢心地になり目を閉じた。
暫くすると彼女は新たなオイルをあたしの顔に塗り伸ばした。
今度はまるで、羽根のようなタッチのマッサージだった。
羽根と化した指先は、耳の付け根から顎のラインに沿って首へと降りていく。
その時だった、あたしの全身にゾクゾクとした感覚が走り、それは一瞬で快感
のような甘美なものへと変わり、思わずあたしの肩が ”ビクン” と震えた。
それを見た彼女が、あたしの耳元にその苺のような唇を近づけた。
「どうかなさいましたか? 真中様」
囁きと共に、熱い吐息があたしの耳にフワリとかかる。
あたしは目を開いた。
「い、いえっ、別に……」
「何かありましたらおっしゃってくださいね……」
「はい……」
彼女の愛くるしい目が、赤いフレームの中で微笑んでいる。
恥ずかしさに、顔が赤くなっているのが自分でもわかる。
彼女の指は再び羽根となってあたしの額を、目の上を、そして頬から唇へと、
顔中をフワフワと飛び回った。
あたしは顔中が性感帯になったように感じ始めていた。
乱れ始めた呼吸。大きく上下する胸。
そしてまた首筋に触れられた時、それは微かな声となって現れた。
「あぁっ~」
「はい……?」
きっと彼女は真上からあたしを見下ろしている。
本当は感じているんでしょう? と言わんばかりの彼女の微笑みを、あたしは
瞼の裏に思い浮かべていた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土