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あなたの燃える手で

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白百合忍法帳

7 
(慶安四年 七月五日)

眉間に針が打たれてから一刻、柘榴が目を覚ました。体の針は抜かれている。
「気分はどうだい? 柘榴」
「あっ、あたし……」
碧はここまでの経緯を柘榴に説明したが、柘榴は鬼哭寺で倒れてからのことを憶えていなかった。
「とにかく、薩摩のくノ一は鬼哭寺にいることは間違いなさそうだねぇ。
ここはあたしがいくよ」
「紅蜂……」
柘榴はまだ僅かに痺れの残る上半身を布団から起こした。
「柘榴、アンタにはまだ無理だよ。もう少し休んでた方がいい。それに若い女は大好物だからねぇ。早速今夜にでも……」
「あたしもついていこうか? 紅蜂」
「碧、アンタは柘榴の傍にいておやり」

その日の深夜、紅蜂は鬼哭寺の境内に立った。
そこには柘榴の言った通り、白い霧のようなものが掛かっている。
見上げる空には月を隠した大きな雲がゆっくりと流れ、周囲の竹藪もその風に僅かに揺れている。
千切れた雲の間から月が覗き、濃密な闇が溶ける。
そこに、桃色の着物を着た朧火が現れた。
「お前が朧火かい? 思っていたより可愛いじゃないか」
「一人か……、ふん、三人まとめて面倒見てやったものを……、まぁよい」
「たいした自信だねぇ、あたし一人じゃ役不足かい?」
朧火はそれには答えず、口から白い霧のような魔香を吐き出した。
「忍法 ”夢傀儡”。お前も我が傀儡となるがいい」
「ふん! あたしにお前の毒は効かないよ!」
「?……」
「お前の術に掛かった柘榴も今じゃ正気に戻ってるよ」
「くっ! 貴様……」
「生憎だったねぇ」
次の瞬間、紅蜂が針を吹いた。
銀色の煌めきが闇を走り、針は朧火の喉に刺さった。
「もう魔香は吐けないねぇ、朧火」
「うっ、ううぅ……、こんな針……」
刺さった針を抜こうとしたその腕を、着物から覗く白い足を、次々と紅蜂の針が貫いていく。その針は正確に朧火のツボに刺さり、手足は脳の指令を遮断されたように麻痺した。
「ふっ、針を使わせたら、この紅蜂の右に出るものはいないのさ!」
「くっ、くくっ……」
「さぁ、お前が柘榴にしたように、あたしも楽しませてもらおうかねぇ……」
紅蜂は、朧火を鬼哭寺の本堂へ運び込むと裸に剥いた。
「綺麗な体、やっぱり若い体はイイねぇ、とっても美味しそうだよ。でもその前に、連判状を渡しておくれでないかい」
「そんな物は知らぬ。わらわは見ての通り持ってなどおらぬ……」
「すると持ってるのは……、残りの二人のどっちかって事になるねぇ。それとも何処かに隠しているのかい?」
紅蜂の手が朧火の股間に伸びた。その手が花びらを優しくまさぐった。
「知らぬと言っておろうが! 殺すなり何なりするがいい!」
「ふふっ、威勢がいいねぇ。持ってはいなくとも、その在処は知っているんじゃないのかい?」
「ふん! 知っててもしゃべると思うか?」
「それじゃその体に聞いてみようかねぇ」

紅蜂は頭から、紅珊瑚のかんざしを引き抜いた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土