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あなたの燃える手で

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死神イングリット

19
「森山蘭。時間です、起きなさい」
イングリットの声に蘭は目を覚ました。
イングリットは大きな金色の砂の入った砂時計を片手に持ち、ベッドの傍らで蘭を見下ろしている。
蘭はベッドから這い出ると、いつものように全裸のまま立ち上がった。
いつものようにまるで記憶のない24時間、体には昨日の疲れも、鞭で打たれた跡もなかった。
イングリットがドアを開けると、その隙間から煌々とした白い光が溢れた。イングリットの姿はその光に飲み込まれるように、隣の部屋へと消えていった。
蘭が隣の部屋へ脚を踏み込んだ途端ドアが閉まり、部屋は静寂に包まれた。
白い光が全裸の蘭の体から、全ての影を奪っていた。
「えっ? ここって……病院?」
床も壁も白く覆われたその部屋に窓はなく、先に入ったはずのイングリットの姿もなかった。代わりに奇妙な椅子が一つ、部屋の中央で白い床に小さな影をつくっていた。
椅子というよりは何かの装置を思わせるその椅子は、座面と背もたれしかなく、そこには生ゴムのようなクッションが付いていた。リクライニングが半分倒された背もたれの上には頭を載せる部分があり、座面の両脇からは金属の棒が上に伸び、先には半円状の枷のようなモノが取り付けられ、残りの半円状の部分がそこからぶら下がっていた。
それ以外は全体が冷たい銀色に輝いている。
「これって、分娩台……?」
「そうよ」
蘭が一人呟いたとき、その後で女の声がした。
振り返った蘭の目に映ったのは、白衣を着た一人の妖艶な女医だった。
中肉中背の体付き、歳は蘭よりもずっと年上の40歳位に見える。
白衣の上に柔らかな髪が伸び、真っ赤な唇に透けるような白い肌をしている。
「さぁ、そこに座って」
抗っても無駄なことを知っている蘭は、その冷たい椅子に座った。
すると彼女が蘭の背中を背もたれに押し付けた。
「あっ、いやっ……」
そして両手を掴み頭の後に回すと、蘭の手首をそこにある太い手枷に繋いだ。
彼女の唇がパックリと割れ妖しく微笑んだ。蕩けるような甘い微笑みだった。
「えっ?」
「さぁ、足もよ……。ココに載せて」
彼女は蘭の足首を金属棒の先にある半円状の足枷部分に乗せると、残りの半円を足首にかぶせロックした。内側には生ゴムのようなモノが張られ、痛みはないが足はまったく動かせなくなった。
「ふふふっ、もう丸見えね」
彼女は輝く目を蘭と合わせると背を向け、一旦光の中に消えるとワゴンを押して現れた。そのワゴンには見たこともない器具が色々の置かれている。
「診察を始めるわよ。いっぱい泣かしてあげましょうねぇ、んふふふっ」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土