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あなたの燃える手で

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花散る午後

22
『水密流・生け花展』は大成功の内に終わった。
一際大きな志帆の作品を引き立てるように生徒達の作品が並び、また生徒達の作品を志帆の作品が力強く牽引するかのような、見事な作品の配置であった。
グランドオープンの催しも午後5時には終わり、生徒達は待ちに待った1泊の宿泊券を取り出した。

フロントでキーを受け取ると奈津子と5人はエレベーターで10階に上がった。この階にある ”トリプル” の2室が招待された部屋になっている。
志帆と奈津子それに綾子の3人と、美幸、恵美、和美の3人に分かれそれぞれの部屋に入った。
部屋は共に和室で、3人では十分すぎるほどの広さがあった。
部屋の隅に荷物を置くと、奈津子は窓辺に歩み寄りカーテンを開けた。
駅の西口に位置するこのホテルの大きな窓からは、既に見慣れた街並みが見渡せた。窓のすぐ下には駅前の幹線道路が走り、商店街から続く住宅地の向こうには一際緑の多い総合公園が広がり、その端に位置する白い教会の尖塔にある十字架が、茜色に染まりつつある空にシルエットになっていた。
総客室数140室という小規模ながら、駅から徒歩5分以内という利便性の良さは、利用者への大きなアピールになりそうだった。
奈津子が窓を眺めている間に、志帆はルームキーをテーブルに置き、部屋を見回した。部屋には形ばかりの床の間があり、ローテーブルの上にはホテルの利用規約の書かれた書類が置かれている。
木目調の天井の下に太い梁が渡してあり、その下にこの部屋と寝室とを仕切る襖が閉まっていた。
志帆がその襖を開けると既に布団が3枚敷いてある。
綾子がとりあえずという感じでお茶を入れ、座布団に腰を下ろした。
「あっ、綾子さん。あたしが……」
「あらっ、いいのよ奈津子さん。そんな気にしないで」
「志帆先生もお茶が入りましたから、こちらにどうぞ」
「ありがとう。今行くわ」
寝室から志帆の声だけが帰ってきた。

3人はテーブルを囲んだ。
「どうしましょうか。食事にはまだちょっと早いみたいだし……」
志帆が困ったように言った。
「先にお風呂にしますか?」
綾子も困ったように言う。
「でも、夕食は下のレストランでしょ。浴衣で行くのは恥ずかしいわ。隣の3人はどうするつもりかしら?」
「7時にレストランでって、恵美さんが言ってましたけど」
奈津子が言い忘れていたのを思い出したように言った。
「あとまだ1時間以上あるわ」
「それじゃ、ちょっと楽しもうかしら。ねぇ、先生……」
そう言って、綾子が好色そうな眼差しを志帆に向けた。
二人は立ち上がると奈津子の挟むように座った。

奈津子の両耳に二人の唇が触れ、熱い息を吹きかけた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土