2ntブログ

あなたの燃える手で

Welcome to my blog

花散る午後

12
庭の池が茜色に染まり始めた頃、奈津子はようやく解放された。
「どうだった? 奈津子さん。このお教室には後4人の生徒さんがいらっしゃるのよ。今度ご紹介するわね」
志帆は熱く絡みつくような視線を奈津子に送りながら言った。
「はい。楽しみにしています」
奈津子は旅先のホテルでの妄想が、現実になるような予感を感じていた。

数日後、奈津子は先日の予感を拭いきれぬまま再び志帆の家を訪れた。
今日は他の生徒達も来る稽古日だ。
奈津子がこの間の部屋に通された時、既に4人の生徒達は集まっていた。
「どうも初めまして。川村奈津子と申します」
奈津子は座布団に座ると頭を下げた。ミニに近いスカートに白いシャツ。4人はその奈津子を粘り着くような視線で見つめている。
志帆に促され、4人の生徒達は順番に自己紹介をしていった。
1人目は志帆の隣に座っていた『一条綾子』だった。
生徒の中で一番古くリーダー的存在の綾子は、その実力もさることながら、他の生徒達から全ての面で一目置かれていた。
「初めまして一条綾子です。よろしくお願いします」
2人目はその隣の『十沢美幸』だった。
細身で長い指が印象的な美人で、切れ長の目が奈津子に優しく微笑んでいる。
「初めまして十沢美幸です。よろしくお願いします」
3人目はその美幸の隣に座る『百地恵美』だった。
多少ポッチャリとした体型の、どことなく品の良い熟女だった。
「初めまして百地恵美です。よろしくお願いします」
4人目は最後になる『千田和美』だった。
微笑みかけるその顔は、4人の中で一番好色そうな感じを奈津子は受けた。
「初めまして千田和美です。よろしくお願いします」
奈津子を見つめる4人の目は、初めて志帆と相対したときの、志帆が奈津子を見つめていたときと同じものだった。
まさかこの4人は、自分と志帆のことを知っているのだろうか……。
この机に縛られ、あられもない姿で逝き果ててしまったこの間のことを。
この4人の目を見ていると、その事は十分に考えられた。顔にはおくびにも出さないが、その目の奥で燃える淫靡な炎が奈津子には見えるような気がした。

その日の稽古は奈津子の歓迎会と言うことで、いつもより早く切り上げられた。そして志帆の計らいでみんなにお寿司と日本酒が振る舞われた。生けられた花とテーブルに並べられたお寿司が妙に調和し、談笑は和やかに続けらた。
お酒にはあまり強くない奈津子だったが、飲み口の良い日本酒は奈津子の体を徐々に犯していった。
気が付くと奈津子は別室に運ばれ、布団の上に横たわっていた。
「お目覚め? 奈津子さん」
横たわる奈津子を4人の生徒達が取り囲むように座り、見下ろしていた。

好色そうな目が、奈津子を取り囲んでいた。

Comments 0

Leave a reply

About this site
女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
About me
誠に恐縮ですが、不適切と思われるコメント・トラックバック、または商業サイトは、削除させていただくことがあります。

更新日:日・水・土