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あなたの燃える手で

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小料理屋の二階

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絶頂を迎えたあたしは、ビクビクと痙攣する体を自分でもどうすることもで
きず、ただただ快感を貪っていた。

その夜、あたしは女将の言葉を思い出していた。

「強制的に焦らされて、逝きたくても逝けないの」「逝けそうで逝けない久
留美ちゃんが凄く可愛い」「ここをこうされたら堪らないでしょう」「こん
な快感がずっと続くのよ」
あぁ、だめだ。きっと、きっとあたしは、ううん、きっとじゃない。絶対
だ、絶対あたしはまたあの店に行くだろう。そして今度こそ女将さんに徹底
的に……。
そんな妄想は仕事中にも頭をもたげた。そんな内から湧き上がる妄想を打ち
消し、誘惑を抑えつけながら二週間が経った頃、あたしは小料理屋『百合の
小径』の前に立っていた。
片手で暖簾をスッとあげ、引き戸を開けた。

「あらっ、久留美ちゃん。いらっしゃい」
「こんばんは、女将さん……」
事前に何の連絡を入れなかったが、女将は快くあたしを迎え入れてくれた。
中に入ると、客はあたしだけだった。そのせいか、女将さんは厨房から出て
くるとあたしの隣に座った。
「きてくれると思ってた……」
そう言ってあたしの手に手を重ねた。
「えっ、えぇ……、だって……」
「それで、どうする?」
「どうするって……」
「だ・か・ら。この間みたいなこと」
「あっ、はい。お願い、しま、す……」
答え終わった時、あたしは完全に俯いていた。
「うふっ、ほらっ、顔上げてちゃんと見せて」
「はい」
顔を上げると女将さんと目が合って、あたしは動けなくなった。
「あたしの顔を見てちゃんと言ってご覧なさい。虐めてくださいって」
「えっ。…」
「早くっ。目を逸らしちゃだめよ」
あたしは自然上目遣いになって。
「虐めて……、ください……」
それは胸の奥から、ようやく絞り出したような声だった。

「はい。わかりました。それじゃ虐めてあげましょうね。今日はちゃんと縛
って、たっぷり可愛がってあげるわ」
「は、はい………お願いします」
それを聞くと女将さんは暖簾を仕舞ってしまった。
「もうこれで誰も来ないわよ。久留美ちゃんを助けられるのはあたしだけ」
あたしは期待と不安と緊張で、訳がわからなくなっていた。
「うっふふっ。そんな顔しないの。とって喰うわけじゃなし」
「それじゃ二階へ行きましょう。このあいだの部屋よ」
あたしが階段の途中で振り返ると、女将さんは店の明かりを消していた。

部屋に入ったあたしの目に、数本の縄とオモチャが飛び込んできた。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土