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あなたの燃える手で

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白い魔女 7

12 
雪絵は泌尿器科の前に座っている美緒を見つけると、彼女に歩み寄った。
「えぇっと、松田美緒さん……?」
「はい。一週間前に、検査入院するということで、連絡を頂きまして……。
今日この時間にココで待つようにと……」
「えぇ、連絡した御堂ですぅ」
「あっ、そうなんですか。松田美緒です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします……」
雪絵は柔らかな笑顔で、軽い会釈をした。
「では、入院関係の書類と診察券。それと身分証を……」
「はい」
彼女はそれらをバッグから出すと、雪絵に渡した。
「それからこれ、入院の手引きといって、トイレとか食事とか、入院生活の
基本的なコトが載っていますから、目を通しておいてくださいね」
「あっ、はい」
彼女はそれを受け取るとバッグにしまった。
「それではいきましょうか。入院棟の3階になります」
2人は外来棟の1階からエレベーターで3階に上がると、渡り廊下を渡って
入院棟へと歩いた。
途中トイレの場所や販売機。ナースステーションのなどを説明しながら、廊
下を奥へ奥へと歩いていく。
そして一番奥の病室、310号室に入った。
「ここですか?」
美緒が物珍しそうに病室を見回す。ベッドは4つあるがどれも空だ。
「あたし……、だけですか?」
「そうね、貸切。個室みたいなもんね。でも誰かいるよりいいんじゃない」
「えぇ、まぁ……」
「この病室、トイレからは遠いんですけどね、手前の5部屋にも誰もいない
から、静かでのんびりできますよ」
そういえば、305号室から309号室にも、人の気配がないような気もした。
「えぇっと、ベッドは窓側がいいかしら? たいした眺めじゃないけど」
「あっ、はいぃ」
「それじゃココね。荷物はココに入れて、鍵が掛かるから。それから一応テ
レビはイヤホン使ってくださいね。そうそう、これがナースコール。何かあ
ったらコレを押して呼んで下さいね」
「はい、わかりました」
「元気だから、押すコトはなさそうだけど……。検査入院だもんねぇ」
「えぇ、まぁ……。あのぅ、今日の診察はぁ……」
「診察は午後から、先生が来きますから」
「あっ、そうですか……。それからぁ、検査入院ってぇ……?」
「松田さんの場合、通常のお薬で改善があまり見られないので……、チョッ
トだけ強いお薬に変えて経過観察します。別に心配入りませんよ」
「あぁ、はい。わかりました」
「それではまた後で……、今度は先生と一緒にきますね」
「はい。ありがとうございます」
雪絵はクルリと美緒に背を向けると、一旦病室を後にした。

そして午後、病室に真弓と雪絵が現れた。
真弓は診察は通り一辺の問診だけを済ますと、雪絵に言った。
「それじゃ後はお願いね。薬と観察はあなたに任せるから……」
「はい、大丈夫です」
そして雪絵は美緒に向き直ると言った。
「そういうコトですので、また後でお薬塗りにきますね」
それだけ言うと美緒に一礼し、真弓と一緒に病室を後にした。

 今度会うときは、 "地獄の一丁目か極楽" ということになるわね。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土