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あなたの燃える手で

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春を画く

24 
二本差しのまま、双葉は絶頂に達した。

その日の夜。もともと具合の悪かった無空は早々に眠りについた。
アトリエに着いて荷物の整理もしないままプレイが始まったコトもあり、双
葉は鏡空の部屋で寝るコトになった。
「ねぇ、どうだった? 思ってたモデルと違うでしょう。いつもはね、あん
なじゃないんだけど、あなたは特別かもね……」
「はい、びっくりしました。なんだか拉致された気分でした」
「うっふふ。ごめんなさいね。そんなつもりじゃないんだけど……。でもあ
れじゃ、そう言われても仕方ないわよね……。ねぇ、またモデルやってくれ
るかしら?」
「えぇ、是非……。あたしああいうのキライじゃないですから」
「Mだって言ってたもんね」
「はい……」
「ねぇ、よかったら、あたし達パートナーになれないかしら?」
「パートナー?」
「そう。速い話が……、あたしと付き合ってっていう告白」
「モデルもしながら……?」
「出来ればソレが一番イイけど……。でも女同士じゃ、イヤかしら?」
「いえっ、実はあたし、女の人の方が……」
「そうなの? それじゃ……、ねっ」
「はい。よろしくお願いします」
「どうもありがとう。嬉しいわ」
「あたしもなんだか……、胸がドキドキしてます」
双葉はそう言って自分の胸に手を当てた。


それからあたしたちの交際は順調に進んだ。
そして数ヶ月後。
あたしたちは以前待ち合わせをした、『アマデウス』というかフェにいた。
あの時と同じ女の子がコーヒーを運んできて、初めて会ったあの日のコトを
思い出させる。
「はぁ~い、ホットコーヒーでぇす」
彼女はそういって、テーブルにコーヒーを置いていく。
「ごゆっくりどうぞぉ」
そんな彼女の笑顔を、あたしたちは二人で受け止めた。

あたしはカップを口に運びながら、前々から思っていたコトを口にした、
「ねぇ、双葉。あたしが千手無空になったら……、どう思う?」
「どうって……、どう言う意味?」
「だからね、あたしが十六代目になるの」
「十六代目……? だっていずれなるんでしょう?」
「うん。そうかもしれないケド…」
「しれないケド、なぁに?」
「もう待てないの」
「待てないって……?」
「十五代目には早々に消えて貰うわ」
「消えて貰うって……、まさか」
「その "まさか" よ……」
「ホントに? そういう意味?」
「そうよ。これからはあたしが千手無空を名乗るの。一枚数百万で売れる絵
を描く女春画師よ。モデルはあなた。もちろん儲けは折半でいいわ」
「でもどうやって」
「簡単よぉ。あのアトリエ。地元の人でも知らない人がいるのよ」
「あそこで……」
「あんな山の中にあるのよ。どうにでもなるわ」
「でもぉ……」
「だって先生、まだまだ長生きしそうじゃない」
「でも、だからって……」

それからあたし達は、綿密な計画を立て始めた。


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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土