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あなたの燃える手で

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秘密回診




秘密回診



PROLOGUE
ラジオの深夜放送が、深夜2時を告げた。
今夜あたり来る気がする。
足音もしないけど、あたしにはわかる。
あの人がこの病室に近づいていることが。
きっともうすぐドアが……、あっ来た。
ドアノブが回る "カチャ" っていう小さな音。
あたしはいつものように、目を閉じて寝たふりをする。
そしてドアを閉じる時にも聞こえる "カチャ" っていう小さな音。
もうあの人は、あたしのベッドの横に立っている。
そしていつそうするように、無言のままあたしのタオルケットを捲り上げた。




駅のホームから転落して両腕を骨折。脚にも打撲を負ったあたしは、そのまま救
急車で運ばれ、ここ『梓野病院』に入院した。
この病院はどこにでもある普通の病院だと思う。でも、この病院はちょっとおか
しいかもしれない。だってこの病院には、夜に回診があるのだ。それもみんなが
寝静まった真夜中に……。
そしてそれは、入院3日目の夜から始まった、

骨折と打撲で入院しているあたしは、別に内臓疾患があるわけでもない。だから
元気といえば元気なのだ。来春から新社会人になるあたしが、1日中ベッドの上
に寝ていれば、体力があまって眠りも浅い。
だからその日の夜、あたしはドアノブの回る "カチャ" っていう小さな音で目を
覚ましたのだ。

「くるみさぁ~ん。牧野くるみさぁ~ん」
囁くようなその呼びかけは、優しくも事務的にも聞こえる。そしてそんな呼びか
けに、あたしは狸寝入りを続けた。
「あらあら、くるみちゃんったら。寝ちゃってるのね。無理もないか。こんな時
間だもんね。あたしは第一外科の梓野彩香よ」
その声は、あたしの両腕にギプスを巻き、脚を5針縫ってくれたあの先生とは違
うようだった。
「寝ちゃってるなら……、しょうがないわね。いえ、かえって都合がいいかし
ら。初めてだし……」
先生はあたしのパジャマのボタンを外すと、右の二の腕が出るまで広げた。
そうしたのは、両腕にギプスをしているせいかもしれない。
「ちょっとチクっとしますよぉー」
えっ? それって注射……? そう思ったあたしの二の腕に、本当にチクっとし
た痛みが走った。そしてその瞬間。あたしはビクッと反応してしまったのだ。
「あらっ、起こしちゃった? ごめんなさいね、くるみちゃん」
先生の優しい声が、あたしの耳元で聞こえる。
「今ね、お注射したの。心配しないで、ただの痛み止めだから」
「痛み止めなら錠剤を……、いただいてますけど」
「いいのよ。くるみちゃんの場合、完全骨折だから、錠剤が切れると、今日明日
くらいは特に痛むと思うの。だからこれは保険みたいなものね」
「はぁ、そうなんですか……」
「そうよ。で、なにか変わったこととかない? 痛むとか、出血とか……」
「いえっ、別に。まぁ、痛いといえば痛いですけど。痛み止めで我慢できないほ
どでは……」
「そう、よかったわ」
先生は熱を測るようにあたしのおでこに手を置き、そのまま髪を横に流した。
「なんか熱っぽいみたいねぇ」
「そういえば、なんか……、暑いです」
「あらっ、くるみちゃん。汗かいてるじゃないの」
「えっ?」
そういえば確かにさっきよりに暑い。それにいつの間にか汗も汗かいている。
「そういえば、ちょっと暑いかも……、なんだか体が火照って……」
「あらっ、それはいけないわね。ちょっとパジャマを脱ぐ?」
「えっ? でも、恥ずかしい……、です」
「なに言ってるのぉ。あたしは医者よ。それに女同士なんだから。恥ずかしがる
ことないじゃない」
「はぁ……、そうなんです、けどぉ……」
「ほらっ、早く。汗でパジャマが濡れちゃうわ」
結局パジャマののボタンは全て外され、先生はそれを脱がしてくれました。でも
両腕にギプスをしているあたしの腕からパジャマは抜けず、あたしの両腕は後ろに
回ったままになってしまいました。
つまり今のあたしは、両手を後ろで拘束され、無防備な胸を先生に晒しているので
した。

Comments 2

ファン  

身勝手ですがとても心配していました。

更新とても嬉しいです!

自分のペースで頑張ってください!

2017/08/12 (Sat) 20:50 | EDIT | REPLY |   
蛍月  
ファンさん、コメントありがとうございます。

今回の作品『秘密回診』は、もう書きあがっていまして、
今は次回作のキャラを設定中です。
マリアと麗子に似たキャラも登場しますが、もっと
放蕩な女たちが集まってくれそうです。
自分的には、1周回ってあの街に戻って来た感じです。

2017/08/14 (Mon) 08:53 | EDIT | REPLY |   

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土