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あなたの燃える手で

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甘く危険な調べ


私の通っていた高校は女子校で、吹奏楽部は何度か全国大会に出場していた。
残念ながら私の在籍中に全国大会に出場することはなかったが、私にとっては
とても素敵な3年間だった。そう思えるのは、石原先生との出会いが大きい。
高校に入って初めてクラリネットに触った私に、先生は優しくそして熱心に吹
き方を教えてくれた。居残りで練習したこともあったし、屋上に場所を移した
こともあった。またある時に先生のお宅にお邪魔しての練習ももあった。
先生はそれほど親身になって私にクラリネットを教えてくれたのだ。
しかしそれは先生のある想いからだと、私は後から知った。

その想いとは、私を生徒としてではなく1人の女として、恋愛の対象として意
識していたことだ。
つまり、石原先生はレズビアンだったのだ。
その事実は、周りにそういう人がいたコトがない私には、ちょっと衝撃的だっ
た。でも不思議と敬遠することもなかった。どちらかというと、そういったこ
とを打ち明けてくれた先生に、親近感を持ったことを覚えている。
それにその時は自分でも気が付いていなかっただけで、あたしもその気がまん
ざらでもなかったのだ。
先生がそのことを打ち明けてくれたのは、屋上での居残り練習の時だった。


「違う違う、そこはもっと優しく」
「これくらいですか」
私は精一杯言われた通りに吹いてみる。
「うぅ~ん、そうじゃなくて。ここの強弱でこの曲全体の印象が全然違ってく
るの。とても大切な小節なのよ。ちょっと貸して……」
先生は自分のクラリネットを持参してたにも関わらず、私の手からクラリネッ
トを奪い取ったのだ。
「いい? 先生が吹いてみるわね……」
すると先生の手にした私のクラリネットをから、まるで別次元の音色が流れ
出たのだ。その音色はそろそろ暗くなり始めようとする、茜色の空へと吸い込
まれていった。
「どう? わかった?」
「はい。でも私、そんな風に吹けるかどうか……」 
「大丈夫。詩織ちゃんなら吹けるから。あらっ、そういえば私たち、間接キス
しちゃったわね」
そんなことを言いながら、先生が私にクラリネットを返した。
「えっ? あぁそんな、別に先生なら……」
「あらっいいの? 本当は嫌なんじゃない? 先生となんて」
「いえっ、そんなことないです。私、先生となら」
「んん? 先生となら?」
「いえっ、あのっ」
「キスしてもいいって意味に聞こえたけど。そう言いたいのかしら?」
「だから、あのっ、そのぉ……」
先生は夕日を背にして、私に迫るように近づいてきた。
「それじゃ、してみようか?」
「えっ?」
「キ・ス……」
「えっ、あっ、はい……」
もうその時の私は肩をすくめて、顔は俯いて……、だから先生の顔を見ること
もできなかった。
「でもいいの? ファーストキスの相手があたしで……」
「は、はい……」
「そう。それじゃ、顔上げて詩織ちゃん」
先生の細い指先が顎に触れて、そっと顔を持ち上げて……。
目を開けると先生の顔が目の前にあって、だから私はまた目を閉じた。
するとその直後、柔らかなものが私の唇に触れた。
私が15歳。先生は27歳だったと思う。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土