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あなたの燃える手で

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白い魔女

55
涙は頬を伝い、パジャマに小さなシミを作った。
千鶴は上半身だけ起こし、ベッドにもたれている。沙也加はベッドの脇に腰
掛け、千鶴と肩を組むようにすると自分の方に引き寄せた。細い体が自分に
寄りかかってくる。
「千鶴?」
優しく囁きかけた。
「……」
千鶴は俯いたまま何も答えない。
「彼から連絡が来ないの?」
俯いたままコクリと頷く。
「メールは? メールも?」
またコクリと頷く。まるで親に叱られている子供のようだった。
「そう……」
「いいの。いいんです。鏡一、きっと忙しいと思うから」
「でも連絡くらい、くれればいいのにね」
背中に回された腕や、肩に乗った沙也加の手が、千鶴にはまるで母の手のよ
うに感じられた。寄りかかるように体を預けた沙也加の柔らかな体は、まる
で暖かな毛布の中で体を丸めているような、温もりと安心感があった。
ずっとこのまま甘えていたい。
この優しさに包まれていたい。
でも……。



御堂は内側からドアに鍵をけると、先頭に立って階段を下りだした。
ゆかりがそれに続く。
どれほどの深さだろうか? 地下1階よりは確実に深いようにゆかりには感じ
られた。しかし途中に部屋はなく、地下2階分くらい階段を下りた時、目の前
に鉄製の頑丈そうな灰色のドアが現れた。
立て付けの悪そうに見えたドアは意外にも音もなく開いた。
御堂が先に中に入り照明を付けた。続いてゆかりが入る。
室内は10畳ほどの広さがあり、壁も床も白いタイル張りになっている。
それはまるで浴室を思わせた。天井には太い鉄パイプが何本か走り、その間
に物を吊り上げる電動のウインチが付いている。床には直径10センチほどの
排水溝が空いている。よく見れば床には傾斜が付いており、その排水溝に向かって
蟻地獄のように傾斜が集中している。
部屋のほぼ中央には、手術台にしか見えない硬いテーブルが。その手術台にはいくつものベルトが取り付けられていた。その上には衣服を入れるための藤製のカゴが一つ乗っている。
そして何よりもゆかりの目を惹いたのは、手術台の横に設置された産婦人科にあるような分娩台だ。ゆかりが呆然と室内を見回しているうちに、御堂がドアに鍵を掛けた。冷たい音が地下室に響き渡った。
「ふふふっ、覚悟はいい? ゆかり」
「えっ」
そう聞かれても、今のゆかりには言葉が見つからなかった。

Comments 2

マロ  

沙也加と千鶴は、これからどういう風に近付いていくんでしょうね。
気になるところです。

地下室の描写が凄すぎて、
迫力があって、
これからの調教がちょっと怖いくらい楽しみです(笑)

2007/06/24 (Sun) 11:21 | EDIT | REPLY |   
蛍月  

マロさん、こんにちは。

沙也加と千鶴は切なさ路線で、
雪絵とゆかりはハード路線で、
それぞれ異なる景色の中を走って行きます。

二つの景色を楽しんでいただければと思います。

2007/06/24 (Sun) 13:56 | EDIT | REPLY |   

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土