白い魔女
53
千鶴とキスをしてから二週間が過ぎ、順調な回復を見せている千鶴だった
が、何故が寂しそうな顔で携帯を見つめている事が多かった。誰かからの
連絡か、それともメールを待っているのか。
沙也加が病室を訪れるたび、そんな千鶴を目にすることが多かった。
ある雨の日。朝から重い雨雲が腰を据えてこの街を覆っている。
千鶴の病室を訪れた沙也加はカーテンを開けた。
「今日は1日雨だって。なんだか外真っ暗よ。雷でも鳴りそう。やだなぁ、
あたし雷嫌いだから」
「そうなんだぁ、あたしは全然大丈夫だよ。ねぇ、窓も開けて」
「うん」
窓を開けると雨と湿った風が病室に吹き込んだ。
「きゃぁ、あんまり開けると雨が入って来ちゃう」
1度開けた窓を閉めながら僅かな隙間を作った。その隙間から雨音だけが忍び込んでくる。沙也加は雨に濡れる中庭を見下ろしながら、気になっていたことを思い切って聞いてみた。
「ねぇ千鶴。いつも携帯見てるけど、何やってるの? ゲーム? それと
もメール? 誰かからのメールでも待ってるのかな?」
「えっ? うっ、うん」
何となく歯切れの悪い返事を千鶴は返した。
ゆかりがこの『夢の森病院』に来てから1ヶ月半が経った。
朝から憂鬱な雨が降り続くある昼下がり、婦長の御堂雪絵がゆかりの病室へやって来た。ベッドの脇には、食べ終わった昼食がトレイに載せられている。
「明日は休みだから、今夜は一晩中あなたを虐めてあげる」
ゆかりの横に立ち、妖艶な笑みを浮かべた顔でゆかりを見下ろした。
「はいっ……」
「あたしはジワジワと虐めるのが好きなんだから。今夜はじっくりと腰を据えて虐められるわ。覚悟しなさい」
「はっ、はい。あのう、院長の仮眠室ですか? 今夜、院長はお留守じゃ……」
「今日は地下室よ」
「地下室? そんなものが?」
「そう。院長しか入れない部屋があるの。もっともその部屋の事を知ってい
るのは、この病院に何人もいないけどね」
「でもこの病院で働いていれば、いつか知られてしまうんじゃ?」
「その地下室にはね、一回外に出て、院長の専用駐車場の脇のドアからしか
行けないのよ。もちろん普段は鍵が掛かっているしね。今夜は2人きりよ。そこなら気兼ねなく、ふふふっ、タップリ焦らして苦しめてあげる。あたしの気の済むまでね。それじゃ夕食が終わった頃、迎えに来るわ」
それだけ言うと御堂は病室から出て行った。
今までは不安や恐怖に似た感情が先走っていたが、今はそれが期待と好奇心に変わっていた。どんな責めと苦痛、また快感がそこで待っているのだろうか。
それを想像するだけで、ゆかりの蜜壺は潤っていった。
千鶴とキスをしてから二週間が過ぎ、順調な回復を見せている千鶴だった
が、何故が寂しそうな顔で携帯を見つめている事が多かった。誰かからの
連絡か、それともメールを待っているのか。
沙也加が病室を訪れるたび、そんな千鶴を目にすることが多かった。
ある雨の日。朝から重い雨雲が腰を据えてこの街を覆っている。
千鶴の病室を訪れた沙也加はカーテンを開けた。
「今日は1日雨だって。なんだか外真っ暗よ。雷でも鳴りそう。やだなぁ、
あたし雷嫌いだから」
「そうなんだぁ、あたしは全然大丈夫だよ。ねぇ、窓も開けて」
「うん」
窓を開けると雨と湿った風が病室に吹き込んだ。
「きゃぁ、あんまり開けると雨が入って来ちゃう」
1度開けた窓を閉めながら僅かな隙間を作った。その隙間から雨音だけが忍び込んでくる。沙也加は雨に濡れる中庭を見下ろしながら、気になっていたことを思い切って聞いてみた。
「ねぇ千鶴。いつも携帯見てるけど、何やってるの? ゲーム? それと
もメール? 誰かからのメールでも待ってるのかな?」
「えっ? うっ、うん」
何となく歯切れの悪い返事を千鶴は返した。
ゆかりがこの『夢の森病院』に来てから1ヶ月半が経った。
朝から憂鬱な雨が降り続くある昼下がり、婦長の御堂雪絵がゆかりの病室へやって来た。ベッドの脇には、食べ終わった昼食がトレイに載せられている。
「明日は休みだから、今夜は一晩中あなたを虐めてあげる」
ゆかりの横に立ち、妖艶な笑みを浮かべた顔でゆかりを見下ろした。
「はいっ……」
「あたしはジワジワと虐めるのが好きなんだから。今夜はじっくりと腰を据えて虐められるわ。覚悟しなさい」
「はっ、はい。あのう、院長の仮眠室ですか? 今夜、院長はお留守じゃ……」
「今日は地下室よ」
「地下室? そんなものが?」
「そう。院長しか入れない部屋があるの。もっともその部屋の事を知ってい
るのは、この病院に何人もいないけどね」
「でもこの病院で働いていれば、いつか知られてしまうんじゃ?」
「その地下室にはね、一回外に出て、院長の専用駐車場の脇のドアからしか
行けないのよ。もちろん普段は鍵が掛かっているしね。今夜は2人きりよ。そこなら気兼ねなく、ふふふっ、タップリ焦らして苦しめてあげる。あたしの気の済むまでね。それじゃ夕食が終わった頃、迎えに来るわ」
それだけ言うと御堂は病室から出て行った。
今までは不安や恐怖に似た感情が先走っていたが、今はそれが期待と好奇心に変わっていた。どんな責めと苦痛、また快感がそこで待っているのだろうか。
それを想像するだけで、ゆかりの蜜壺は潤っていった。