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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト

38
「な、なにを言っている……。わたしがムーンライト?」
ジェシカは目を丸くして驚いている。
「あなた一体誰なの?」
円香が奈緒子を睨みつけた。
すると奈緒子は内ポケットから黒革の警察手帳を出した。
「警視庁潜入捜査官、中野奈緒子」
「潜入捜査官?」
「そう、あなたがムーンライトなら、全ての謎につじつまが合う」

そして奈緒子は話し出した。
「まずあなたは、館長室に時限発火装置を仕掛けた。時間が来れば爆竹が爆発
するだけの単純なものをね。目的はその音で自分以外の人間を館長室に向かわ
せること。そうすれば展示室で1人になれる。あなたの仕事は外にワイヤーを
張って首飾りを滑らせるだけだから、1分もあれば事足りる。しかしここで予
定外のことが起こった。展示室に竜胆 晶も残ってしまった」
2人は黙って奈緒子の話に耳を傾けている。
「そこであなたはテーザー銃で竜胆 晶を撃ち、ワイヤーを張って首飾りを滑
らせた。そして自分も撃たれたフリをして床に倒れた。そして森で待っていた
彼女は首飾りを受け取りバイクで逃走する」
「一体何の証拠があって……。あなたはそんなことを……」
「証拠はここにあなたが来たこと。おそらく発信器を付けた彼女のバイクを、
GPSを使って追ってきたのでしょう。彼女と落ち合うために」
「そ、そんなこと」
「そのバイクを調べれば、発信器が見つかるはず。そしてあなたのGPSには
その履歴が残っている。あの山の中に止まっていたバイクに、どうしてあなた
が発信器を付けられるの?」
ジェシカ・アンダーソン、いや怪盗ムーンライトは、不敵な笑みを浮かべた。
「ふっ、さすがね。まさかあなたが潜入だったなんてね。見抜けなかったわ」
「そう……。光栄だわ、ムーンライト」
「でもどうしてあたしが怪しいと思ったの……?」
「数が合わないからよ」
「数?」
「そう、銃声の数が合わなかったの」
「銃声の数が?」
「竜胆 晶に1発。ワイヤーを張るのに1発。そしてあなたが本当に撃たれた
のなら、更にもう1発。合計3発聞こえなければおかしい。銃声はあたしがい
た館長室まで届いていたのだから」
「……」
「でも銃声は2発しか聞こえなかった。それも当然、テーザー銃の電極は2発
しか発射出来ない。じゃなぜジェシカだったあなたが倒れていたの?」
「……」
「森にワイヤーが張られていた以上、それに1発使ったのは間違いない。そし
て竜胆も嘘を言っていない」
「なぜ? 嘘をついているのは竜胆かもしれない」
「知ってるの、知ってるのよ、竜胆 晶ね。ずっとずっと昔から」
「それは警察の同僚として……、どうやら違うみたいね」
「さぁ、どうかしら……」
「まぁ、大体想像はつくわ。要するにあたしとこの子みたいなものね。あなた
と竜胆もそういう関係なんでしょう? 分かるのよ、同じ種類の人間は」
奈緒子は胸のホルスターから拳銃を抜くと2人に向けた。
今度は奈緒子が不敵な笑みを浮かべる番だった。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土