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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト

37
竜胆たちの連絡により七海美術館周辺の道路には非常線が張られた。
しかし最少人数に絞ったことが裏目に出たことにより、竜胆たちは初動捜査に
一手後れを取った。
竜胆たちは捜査の指揮に当たるため、一旦本部に戻ることになった。
竜胆の車にはヒロミとカンナが、ジェシカは自分の車にそれぞれ乗り込んだ。
制服はバイクで1人駐車場を出ていった。


円香は森に潜み、ムーンライトこと小夜の作戦開始を待っていた。
そして時間通り、森にテーザー銃のワイヤー付きの電極が打ち込まれると、そ
れを適当な枝に結び、ワイヤーをピンと張った。
するとそのワイヤーを伝い、『クラリスの首飾り』が滑り落ちてきた。
円香はそれを回収すると、バイクに乗りその場を走り去った。

バイクで山道を走る円香後ろを、1台のバイクが付いてくる。
円香はそのバイクをやり過ごそうと、スピードを落としバイクを路肩によせる
と停止した。すると後ろから来たバイクは、円香のバイクにかぶさるようにし
て停止した。
「……?」
ヘルメットを脱いだ円香に対し、相手はフルフェイスをまだ脱がない。
「首飾りを返して頂戴。持ってるでしょう? クラリスの首飾り」
その声は女の声だ。
「誰……?」
「あたしはあの山の中からあなたの後ろを走ってきた。つまりあなたはあの時
間、美術館横の山の中にいたことになる」
「知らないわ、そんなこと……」
「誤魔化せないわよ、それはGPSにも記録されてる。時間も移動距離も、ど
こをどう走ってきたかもね」
「誰? あなたは誰なの……?」
「そうね、会うのは初めてよね」
相手がフルフェイスに両手をかけそれを脱いだ。ヘルメットの下から出てきた
顔、それは中野美奈子だった。
「あなたは美術館の……」
「そう、七海美術館職員の中野美奈子よ」
「なぜあなたが……」
「あなたがムーンライトの助手ね」
「……」
「 "ムーンライトには影が2つある" というのは前から言われていた。つまり
その影があなた。そうでしょう?」
「……」
「だってムーンライトにしては若いもの。若すぎる。もしあなたがムーンライ
トなら、あなたは15~16歳から世界中の美術館に忍び込んでいたことにな
る。何しろここ十数年、ムーランライトはしたい放題なんだから。でも助手な
ら話は別」
「あなた一体……」
その時、1台の車が近づいてきた。ヘッドライトが2台のバイクと向かい合う
2人を照らした。車は2人の近くで止まりドアが開いた。
降りてきたのは、ジェシカ・アンダーソンだった。
「中野さん、どうしたの? 急にいなくなって」
思わぬ人に出会ったというように、ジェシカはちょっと驚いた。
「あらっ、ジェシカ。ちょうど良かったわ。まさに渡りに船ね」
「この女は……?」
ジェシカは円香を見た。
「あら知らないの? ジェシカ・アンダーソン。いえ、怪盗ムーンライト」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土