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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト

35
「1分前です」
カンナはもう腕時計を見っぱなしだ。
カンナ以外の4人も、その場に固まったように動かない。
そしてカンナのカウントが始まった。
「10・9・8・7・・・」
「来るぞ……」
「油断しないように」
それぞれが声を掛け合う。
「3・2・1……」
次の瞬間、館内が停電になり、館内はすべて暗闇に包まれた。
「やはりな、これは想定内だぞムーンライト」
竜胆がそう言ったとき、館長室で何かの破裂音が響いた。
「なんだ!」
「館長室で何かが爆発したようです」
「なんだと、ヒロミ、カンナ、館長室へ。2人の安全を確認しろ」
「はい、あなたも来て……」
ヒロミとカンナ、そしてカンナに引っ張られるようにして、制服警官が館長室
へと向かった。3人が展示室を出ていくと、部屋に残ったのはジェシカと晶の
2人だけとなった。
次の瞬間、銃声が響き晶が倒れた。


「えっ? 今の……、銃声?」
そしてもう1発、同じ銃声が響く。
「カンナ、展示室へ戻るわよ」
「はい……」


ヒロミとカンナが展示室へ駆け戻ってきた。
「竜胆さん、ジェシカさん……。今の音は」
そこには床に倒れた竜胆とジェシカの姿があった。
「竜胆さん……、竜胆さん。カンナ、そっちは」
「ジェシカさん、ジェシカさん、だめです。気を失っています」
2人はそれぞれ、床に倒れた2人に駆け寄ると、意識の有無を確かめるように
体を揺さぶった。
その時、竜胆が目覚めた。
「あぁ、ヒロミ……」
「あっ、竜胆さん……、一体何があったんです」
「首飾りは、首飾りはどうした……」
ヒロミとカンナは竜胆にそう言われ、初めて『クラリスの首飾り』を置いた場
所を振り返った。
「ありません。首飾りがありません」
「なに……?」
「あっ! ヒロミさん、あれ……」
そう言ったカンナが指差した先、そこには窓から雑木林に向かって、ロープ
ウェイのように細いワイヤーが伸びていた。
「なんだ? あれは……」
「ワイヤーが森に……」
カンナがそう言ったとき、竜胆が体を起こした。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土