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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト


何で漢字なんて書いて見せたんだろう。
しかも「円香」なんて。日本人でも読めない人がいるかも知れない。そんな漢
字なのに……。この子に分かるはずもない。聞く方が間違っている。
「ううん、いいの。あたしが言いたかったのは、円香って呼んでくれてもいい
よってこと」
「うふふっ、そう? アンナの方がいいんじゃない」
「あたしはアンナより円香の方が好きなの」
「何で?」
「さぁ、日本人の血かしら?」
「うふふっ、面白いのね。それじゃ円香って呼ばせて貰うわね」
「うん」
「ねぇ円香、どうしてあんな軽業師みたいなこと出来るの」
「あぁ、あれ。あれはウチはサーカス一座だったから。両親は演技中の事故で
死んじゃったんだけど」
「えっ、それじゃ、昼間のあのサーカスは……」
「そう、元はウチの一座よ。今じゃもう人手に渡ってるけど」
「それで、どうしてここに……?」
「えっ、それは、つまりその……、昼間のことがあったからさ、家に帰るわけ
にも行かないし、どうしよっかなぁって思ってたところに、たまたまこの店で
小夜を見つけたってわけ」
「なるほど……。で、どうするの?」
「うぅ~ん、取り敢えず今夜一晩だけでも」
「やっぱりね」
「バレてた?」
「バレてたわ」

そして小夜は自分の泊まるホテルに円香を連れて行った。
泥棒を働いた人間を泊める。それも初対面の人間を……。その理由の2つあ
る。その1つは小夜の性癖によるものだ。男を愛せない小夜にとって、円香は
垂涎の的だ。
そしてもう1つは、円香のあの人並み外れた身体能力だ。自分のパートナーに
なってくれれば心強いことこの上ない。
パートナーとは、怪盗ムーンライトの助手。という位置づけになるが……。
しかしこれを言い出すのは難しいだろう。きっとこの出会いはワンナイトラブ
で終わる。小夜はそう思っていた。
だから今夜はこの体を……。

円香は小夜と同じベッドに入った。
「いいの? 同じベッドで。あたしソファでもいいよ」
「何言ってるの、風邪引くわよ」
「うふっ、優しいね小夜」
円香が甘えるように小夜に近づいた。
小夜は彼女に手を伸ばすと、自分の方へ更に引き寄せた。
すると円香は、小夜にくっつくように身を寄せた。
「円香、あなた今夜ただで泊まるつもり?」
「ううん、そんなことないよ。ちゃんと払うよ」
「盗んだお金ね」
「ちがうよ。この体で払う……」
「まぁ、そんなこと言って、本気にしたらどうする気?」
「だって、小夜もそのほうがいいんでしょう」
「えっ……?」
小夜は一瞬言葉に詰まった。
「分かるんだ。あたしも小夜と一緒だから」

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土