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マリアのおつかい




2012 Xmasスペシャル



マリアのおつかい




PROLOGUE
「マリア……、マリア~?」
2012年クリスマスイブ。午前10時。
2階の自室にいるマリアの耳に、階下にいる麗子の声が聞こえてきた。
「はぁ~い、麗子様ぁ。何ですかぁ?」
「チョット届けて欲しいモノがあるんだけど」
「はぁ~い、今行きまぁ~す……」
マリアは自室を出ると、リビングにいる麗子の元へと階段を下りていった。




夢の森駅の西口を出るとバスターミナルがある。
このバスターミナルを迂回するように歩くと、目の前を幹線道路が横切る。
この道路の横断歩道を渡り、そこから続く『夢の森商店街』を抜けると、そこ
からは一転して住宅地が広がっている。
その住宅地の中でも、一際目を引くのが大邸宅の氷見川邸だった。
この大邸宅の女主人『氷見川麗子』は、エステ業界の世界トップシェアを誇る
『ブルームーン社』の社長あり、彼女は1人のメイドと暮らしている。
そのメイドこそが、麗子が愛してやまない『マリア』である。
2人暮らしの麗子とマリアが、"そういう仲" なのは言うまでもない。

麗子はソファで寛ぐ自分の前に来たマリアに、ニッコリと微笑んだ。
「あのねマリア、チョット良子の所まで行ってきて欲しいのよ」
麗子は組んでいた脚を戻すと、肩で波打つ栗毛の髪を後ろに掻き上げた。そし
てココにいらっしゃいと、自分の太腿の上をトントンと叩いた。
「良子さんって……、アマデウスのママさん」
マリアは麗子の太腿の上に腰掛けた。
麗子はマリアを自分に寄り掛からせ、後ろから抱きしめるように腕を回した。
「そうよ。決まってるじゃないの」
マリアの肩より長い黒髪を左に撫でつけると、白い首筋にキスをした。
「あぁん……。いつもママさんって呼んでるから、名前忘れてました」
「もう、マリアったら……。そんなコト言ったら良子が悲しむわよ。あの人マ
リアのコト大好きなんだから」
そして麗子は、あたしの方がもっと好きと言わんばかりに、ギュッとマリアを
抱きしめると、同じトコロにキスをした。

良子というのは麗子の古い友人で、数十年来の付き合いがある。
2人は今年、共に四十路の坂を昇り始めたところだ。
夢の森商店街で『アマデウス』というカフェを経営している良子は、マリアに
はいつもママさんと呼ばれている。
そしてマリアの親友の響子も、このカフェでバイトをしていた。

「で、届け物ってなんですか? 麗子様」
「それはねぇ、あなたよマリア……。あなたがクリスマスプレゼント」
「えぇ~! あ、あたしぃ~」
「ウソよ。もう……、ホントに大げさなんだから」
「えへっ、チョット大げさに驚いてみました」
「ホントはコレよ」
そう言った麗子の手に、携帯が載っていた。
「それ、ママさんのですか?」
「そう、昨日忘れてったみたい。さっきこの携帯が鳴ってね。出てみたら良子
だったの」
「えぇ……」
「良子は取りに来るって言ったんだけどね、あの人引っ越したばっかりでしょ
う。だから忙しいだろうし、マリアに届けて貰うわって言ったら、もう凄く喜
んでたわ」
「えぇっ、ママさん引っ越したんですか?」
「そうよ、前にマリアと行ったエステと同じマンションに」
「あぁ、あのエステ……。思い出しました。それじゃこれから行ってきます」
「悪いけどそうしてくれる? 良子にはあたしから連絡しておくから。散歩が
てらゆっくりしてらっしゃい」
「はぁ~い」

マリアはそのまま彼女の携帯を持って出かけた。
住宅街を駅方面へと歩き、夢の森商店街を半分程歩くと駅舎が見えてきた。
その手前の幹線道路道路には車が絶え間なく走っている。
商店街の出口には『カフェ・アマデウス』があるが、ドアにはCLOSEDの札
が掛り、店内の明かりも消えている。
「そっかぁー、今日アマデウスお休みなんだ」
マリアはそのまま進み、幹線道路をバスターミナルへと渡り始めた。

駅前のバスターミナルから、幹線道路沿いに5分ほど歩くと、『クイーンホリ
デー』というホテルがある。このホテルを通り過ぎ、10分ほど歩くと一方通
行の路地があるが、その路地を入った所にヨーロッパ調の外観のマンション
『夢の森グランドハイツ』がある。

「ココでイイんだよねぇ確かぁ、あのエステのマンションって。えぇ~っと」
マリアは入居案内を見た。すると10階の1010号室に『エステサロン クレオ
パトラ』と書いてあるのを見つけた。
「あった。やっぱりココだ……」
するとその1階下には、『夢の森探偵社』と書いてある。
「夢の森探偵社? へぇ~、そんなのも入ってるんだ」
ママが住んでいる部屋は810号室だ。
「探偵社の下の部屋かぁ……」
マリアはそれを確認すると、エレベーターに乗り8階のボタンを押した。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土