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あなたの燃える手で

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すれ違いラプソディ

22
「マリィさん、ホテルってここですか?」
「そう、ここよ」
あたしとマリィさんはタクシーを降りると、通り沿いに見えている『ホテル
ハーモニー』と書かれた看板まで歩きました。
その頃にはもう雨は止んでいて、傘をさす必要はありませんでした。
ホテルの入り口には二つの観葉植物が置かれていて、その間を通るとガラスの
自動ドアが開きました。中はちょっと薄暗い感じで、そんな中をマリィさんは
フロントまで歩き、505号室の鍵をフロントに出すと先に料金を払いました。
料金を払うと今度はエレベーターへと向かいます。するとエレベーターは5階
で止まったままでした。
「誰か一足先に5階へ上がったのね」
マリィさんはボタンを押して、エレベーターを1階へと呼び戻します。戻って
きたエレベーターに乗ると、彼は嫌な顔をすることもなく、あたしたちをまた
5階へと運びました。
部屋の前まで歩くと、あたしはリリィさんがドアを開けるのを待ちました。
鍵穴に鍵を差し込むと、その音が妙に廊下に響きました。



部屋に入りドアを閉めると、あたしはその場で由梨にキスをした。まだ靴も脱
いでいないのにだ。
「とうとう来ちゃったわね」
「はい……」
「今夜はいっぱい虐めてあげる」
「あぁ、嬉しいまひるさん」
するとなんと、今度は由梨の方からあたしにキスをしてきた。二人の舌が絡ま
った時、隣の部屋の鍵が開く音が聞こえました。
「あらっ、お隣さん来たみたい」
「そうですね」
廊下はカーぺッドが敷いてあり、歩く音は聞こえない。だから鍵を差し込む音
が突然聞こえてくるのだ。
「あっちは505号室?」
「はい」
「まっいいわ。一緒のお風呂に入りましょう」
あたしは由梨の肩を抱いて、部屋へと上がり込んだ。



「そういえば隣の部屋も入っているのね。506号室?」
マリィさんはドアを開けながら、そんなことを言いました。
「そうですね。さっき1階でエレベーターが5階で止まっていたから、その人
たちが使った後、あたしたちが使ったんじゃ……」
「あらっ、そうだった? 全然気がつかなかったわ。お隣さんも、熱いひと時
を過ごすのね」
「みんなスルことは一緒ですね」
「まぁ、わかったようなこと言っちゃって、千夜ったら」
マリィさんは笑いながらドアを閉めました。
部屋に入ると、マリィさんは突然あたしにキスをしました。まだ靴も脱いでい
ないのにです。でもあたしはそんなマリィさんを受け止め、舌を絡めあったの
です。
「いっぱい虐めてあげましょうね、千夜」
「はい」
マリィさんのそんな言い方は、どこかまひるに似ていました。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土