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あなたの燃える手で

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怪盗ムーンライト





ムーンライト




PROLOGUE
「館長! 館長……!」
「なぁ~に奈緒子。朝から騒々しい」
七海(ななみ)美術館館長『赤水七海』は、出勤そうそう事務所に走り込んで
きた『中野奈緒子』に、怪訝そうな顔をした。
「ポストにこんな物が……」
奈緒子の差し出した物、それは縦110mm、横220mmの真っ赤な洋封筒で、
表には黒い文字で "予告状" と書かれていた。
この美術館の職員である奈緒子は、毎朝郵便物の回収をするのが日課で、今も
片手には朝刊を持ったままだ。
「予告状……、これがポストに……?」
「はい」
七海は奈緒子から封筒を受け取ると、ベロといわれる封筒の裏の三角の口を開
封した。中の三つ折りになった便箋を出すと、真っ赤な封筒を指に挟んだまま
自分の机に座った。
するとすぐに、七海の体が凍り付いたように固まった。
その様子を見ていた奈緒子は、心配そうに七海に声を掛けた。
「館長……、どうなさいました……?」
「奈緒子……」
七海は無言で紙を差し出した。
奈緒子は受け取ったその紙を、ピンと伸ばすとそれを読んだ。

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Mon, May 1, 2013

七海美術館 『ルパンの宝石展 』 に展示する、
究極美のダイヤ 『ルパンの涙』 をいただきます。
なお当方に絶対の自信あり。十分な警戒をオススメする。

怪盗ムーンライト

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「か、怪盗ムーンライトって、あの、ムーンライトでしょうか?」
「多分ね」
「誰かの悪戯ってことも……」
「それはないわね」
「どうして、ですか……?」
「だって、これで2通目だから」
「えっ? 2通目って……?」
「だから……、前にも受け取ったことあるのよ。この予告状を」
「ホ、ホントですか。えっ、そ、その時はどうなったんです?」
「やられたわ、まんまとね」
「やられたって、何を盗られたんです?」
「その時は……、『バビロンの乙女』よ。もう3年前になるけど」
「あっ、それ。知ってます。ニュースで盛んにやってました。あのダビンチの
晩年の名作といわれる『バビロンの乙女』が盗まれたって……」
「そう、その名作をまんまと盗られたのよ」
「……」
「だから判るの、コレはその時と全く同じ。赤い封筒も文章も、そしてこの捨
てゼリフのような "十分な警戒をオススメする" っていうのもね。本人以外こ
んな物送りつけることは出来ないわ。書き方までは公表されてないし」
「ナルホド、そうだったんですか……」
「とにかく警察に連絡して。すぐに」
「はい、館長」
奈緒子は手早くスマホをとりだした。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土