白い魔女
62
しかし御堂の生暖かい舌はヒリつく剃り跡に張り付き、下から上にネットリ
カミソリは縦に横に、そして斜めにと縦横無尽に動き回った。
「いやぁ、だめぇやめてぇ」
「ほぅ~らっ、だんだん見えてきたわよぉ。もっと綺麗にしましょうねぇ」
更に一度剃った部分を反対から剃り上げ、ゆかりの茂みは今や完全に消失
した。隠れていた淫花は、閉じることの出来ない脚の間でその姿を晒した。
御堂が下からその花を見上げている。
「丸見えねぇゆかり。どう? サッパリしたでしょう」
鋼鉄の刃の洗礼を受けた肌はカサついてヒリヒリと敏感になっていた。
そこに剃り残しを確かめるように御堂の指が這う。
「あうぅぅ」
「剃ったばかりですもんね」
「ああっ、やめてぇ。あはぁぁ~。あっ、ああっ、あうっ」
けっして強くは触らないその指は、羽のように剃り跡を撫で回した。
ゆかりは撫で回される事で、更に敏感になってゆくような気がした。
ゆかりの体が時折、痙攣するように震える。それを見た御堂が剃り跡に口を
近づけ、ゆかりの顔を見上げる。そして舌を伸ばした。
「いやぁぁぁ~。いやっ、いやっ、待ってぇぇ~」
「小さかった頃は、お父さんやお母さんがいる友達が凄く羨ましかったわ。
どうしてあたしにはいないんだろうとか、お母さんと手を繋いでいる子を見るといまだに羨ましい。あたしはお母さんの手の温もりを知らないから」
チョット悲しそうな顔で沙也加が笑った。
初夏の青く染め抜かれた空から降り注ぐ優しい日射しが、病院の屋上に二人の影を短く作った。
二人の横には、干されたシーツが青い風に揺れている。
「でもあたしにはその分、人の悲しみや痛みがわかると思った。だからナース
になったの。病気への恐れや不安。孤独や悲しみ。そう言うものを出来るだけ、ううん、少しでも取り除いてあげられればと思って……」
自分が孤児院で育ったことなど言うつもりはなかった。
自慢できる話ではないし、言ったところでどうにもなるわけでない。
何でそんなことを言ったのか、ただ自分にもあなたの寂しがわかる、という
ことを言いたかったのかもしれない。
「だから千鶴、あなたのことも、放ってはおけなかったの」
千鶴の目に光るものが生まれていた。
「沙也加。あたし……」
しかし御堂の生暖かい舌はヒリつく剃り跡に張り付き、下から上にネットリ
カミソリは縦に横に、そして斜めにと縦横無尽に動き回った。
「いやぁ、だめぇやめてぇ」
「ほぅ~らっ、だんだん見えてきたわよぉ。もっと綺麗にしましょうねぇ」
更に一度剃った部分を反対から剃り上げ、ゆかりの茂みは今や完全に消失
した。隠れていた淫花は、閉じることの出来ない脚の間でその姿を晒した。
御堂が下からその花を見上げている。
「丸見えねぇゆかり。どう? サッパリしたでしょう」
鋼鉄の刃の洗礼を受けた肌はカサついてヒリヒリと敏感になっていた。
そこに剃り残しを確かめるように御堂の指が這う。
「あうぅぅ」
「剃ったばかりですもんね」
「ああっ、やめてぇ。あはぁぁ~。あっ、ああっ、あうっ」
けっして強くは触らないその指は、羽のように剃り跡を撫で回した。
ゆかりは撫で回される事で、更に敏感になってゆくような気がした。
ゆかりの体が時折、痙攣するように震える。それを見た御堂が剃り跡に口を
近づけ、ゆかりの顔を見上げる。そして舌を伸ばした。
「いやぁぁぁ~。いやっ、いやっ、待ってぇぇ~」
「小さかった頃は、お父さんやお母さんがいる友達が凄く羨ましかったわ。
どうしてあたしにはいないんだろうとか、お母さんと手を繋いでいる子を見るといまだに羨ましい。あたしはお母さんの手の温もりを知らないから」
チョット悲しそうな顔で沙也加が笑った。
初夏の青く染め抜かれた空から降り注ぐ優しい日射しが、病院の屋上に二人の影を短く作った。
二人の横には、干されたシーツが青い風に揺れている。
「でもあたしにはその分、人の悲しみや痛みがわかると思った。だからナース
になったの。病気への恐れや不安。孤独や悲しみ。そう言うものを出来るだけ、ううん、少しでも取り除いてあげられればと思って……」
自分が孤児院で育ったことなど言うつもりはなかった。
自慢できる話ではないし、言ったところでどうにもなるわけでない。
何でそんなことを言ったのか、ただ自分にもあなたの寂しがわかる、という
ことを言いたかったのかもしれない。
「だから千鶴、あなたのことも、放ってはおけなかったの」
千鶴の目に光るものが生まれていた。
「沙也加。あたし……」