白い魔女
2
『夢の森病院』は外来患者の訪れる2階建てのA棟と、入院施設のある4階建てのB棟の2棟から構成され、この2棟は向かい合っていて渡り廊下で結ばれている。上空から見ればちょうどコの字形に見えるはずだ。A棟とB棟の間は中庭になっていて、そこにはこの病院のシンボル的な存在である、高さ20メートルを超す大銀杏がその風貌を晒していた。
院長室は、この病院の最上階に当たる4階の端にある。普段この部屋を訪ねる者はいない。正面に院長の机、その右側の壁にソファとローテーブル。そして反対側の壁には、ビデオカメラと50インチはある大画面モニターが一際目を引た。南向きの窓からは大銀杏のある中庭が見下ろせる。
真弓は唇に妖しい微笑みを浮かべながら机から離れると、窓のブラインドを降ろし白衣を脱いだ。木漏れ日の中で踊る紫煙が消えた。
「そう、これから休憩なの。ちょうど良かったわ。こっちにいらっしゃい」
脱いだ白衣を椅子の背もたれに掛けると、ソファへと御堂を誘った。
「はい。院長」
御堂はドアに鍵を掛けると真弓に続いた。その手は白衣のボタンに掛かっている。
「白衣を脱いだら真弓と呼ぶ約束でしょ……雪絵」
「ごめんなさい。いつもの癖で、つい」
真弓はタバコを咥えソファに腰掛けた。その目の前で雪絵が服を脱ぎ始める。
今年で38歳になる御堂雪絵の体、さすがに若い頃の張りは失っている。
「そこのテーブルに、お尻を上げて四つん這いになって」
「はっ、はいっ」
雪絵はテーブルに上がり四つん這いになると、頭をテーブルに着け、カメラに向かって尻を突き上げた。85センチの胸がテーブルの上で潰れる。真弓はタバコをもみ消し、ソファから立ち上がると、大画面モニターのスイッチを入れた。真弓がカメラの向きを微調整すると、モニターに雪絵の尻のアップが映し出された。雪絵が横を向くとそのモニターがいやでも目に入る。真弓は雪絵の横に回ると、両手で愛おしそうにそのきめ細かく、冷んやりとした双丘を撫で回した。
柔らかな白い肉はしっとりと湿り、真弓の掌に吸い付いた。そしてその中心には、周りの白さとはうって変わり、セピア色に変色した雪絵の大きな花びらと、裏の窄まりがひっそりと息づいている。真弓の指が色づいた花を割り開いたその奥で、ピンク色の粘膜が震えている。その様がモニターに映し出されている。
真弓は両手に手術用のゴム手袋をした。
「ほら、見てごらんなさい。自分の色と形を、もうこんなに濡れてるじゃない」
高解像度のモニターは、雪絵の局部を細部まで精密に映し出した。
「あぁ~いやぁ~、あんなに大きく映して」
「ほら。もっとよく見なさい」
真弓は雪絵の花びらに両手の指先を入れ、その奥を晒すように更に拡げた。
「ああぁ、拡げないでぇ」
『夢の森病院』は外来患者の訪れる2階建てのA棟と、入院施設のある4階建てのB棟の2棟から構成され、この2棟は向かい合っていて渡り廊下で結ばれている。上空から見ればちょうどコの字形に見えるはずだ。A棟とB棟の間は中庭になっていて、そこにはこの病院のシンボル的な存在である、高さ20メートルを超す大銀杏がその風貌を晒していた。
院長室は、この病院の最上階に当たる4階の端にある。普段この部屋を訪ねる者はいない。正面に院長の机、その右側の壁にソファとローテーブル。そして反対側の壁には、ビデオカメラと50インチはある大画面モニターが一際目を引た。南向きの窓からは大銀杏のある中庭が見下ろせる。
真弓は唇に妖しい微笑みを浮かべながら机から離れると、窓のブラインドを降ろし白衣を脱いだ。木漏れ日の中で踊る紫煙が消えた。
「そう、これから休憩なの。ちょうど良かったわ。こっちにいらっしゃい」
脱いだ白衣を椅子の背もたれに掛けると、ソファへと御堂を誘った。
「はい。院長」
御堂はドアに鍵を掛けると真弓に続いた。その手は白衣のボタンに掛かっている。
「白衣を脱いだら真弓と呼ぶ約束でしょ……雪絵」
「ごめんなさい。いつもの癖で、つい」
真弓はタバコを咥えソファに腰掛けた。その目の前で雪絵が服を脱ぎ始める。
今年で38歳になる御堂雪絵の体、さすがに若い頃の張りは失っている。
「そこのテーブルに、お尻を上げて四つん這いになって」
「はっ、はいっ」
雪絵はテーブルに上がり四つん這いになると、頭をテーブルに着け、カメラに向かって尻を突き上げた。85センチの胸がテーブルの上で潰れる。真弓はタバコをもみ消し、ソファから立ち上がると、大画面モニターのスイッチを入れた。真弓がカメラの向きを微調整すると、モニターに雪絵の尻のアップが映し出された。雪絵が横を向くとそのモニターがいやでも目に入る。真弓は雪絵の横に回ると、両手で愛おしそうにそのきめ細かく、冷んやりとした双丘を撫で回した。
柔らかな白い肉はしっとりと湿り、真弓の掌に吸い付いた。そしてその中心には、周りの白さとはうって変わり、セピア色に変色した雪絵の大きな花びらと、裏の窄まりがひっそりと息づいている。真弓の指が色づいた花を割り開いたその奥で、ピンク色の粘膜が震えている。その様がモニターに映し出されている。
真弓は両手に手術用のゴム手袋をした。
「ほら、見てごらんなさい。自分の色と形を、もうこんなに濡れてるじゃない」
高解像度のモニターは、雪絵の局部を細部まで精密に映し出した。
「あぁ~いやぁ~、あんなに大きく映して」
「ほら。もっとよく見なさい」
真弓は雪絵の花びらに両手の指先を入れ、その奥を晒すように更に拡げた。
「ああぁ、拡げないでぇ」