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あなたの燃える手で

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白い魔女


             白い

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静寂に包まれた長い廊下を、一人のナースが歩いてくる。
豊かな胸で膨らんだ水色のナース服。その小脇にファイルケースを抱え、早足で歩くその姿は、まるで戦争映画のドイツ軍将校を彷彿させる。ナースは一番奥の部屋の前で立ち止まり、ドアを二度ノックした。硬質な音が廊下の静寂を破る。
「どうぞ・・・」
軽やかな、それでいて芯の通った女性の声。ドアを開け中に入る。
「失礼します」
室内は20畳程。声の主はこちらに背を向け、入り口の正面にある南向きの窓から、大きな銀杏のある中庭を見下ろしていた。一目でわかるスリムな体型に、肩甲骨を隠す程の黒く真っ直ぐな髪が、冬の日射しに輝いている。
彼女の横にあるマホガニー製の大きな机には、書類が高く積み上げられていた。
ナースの後ろでドアが音もなく閉まった。
「院長、献体の到着は午後3時頃になりそうです」
背中越しに声を掛ける。
「わかったわ。来たら隣の部屋へ通して。あっ、それから、契約書は用意してくれたかしら?」
背を向けたまま言った。
「はいっ、ここに」
ナースは前に進むと、ファイルケースを机の隅に置いた。
「ありがとう。今回の献体の値段はどれ位?」
「確認してはいませんが、2千万位だとか・・・」
「そう・・・。まぁまぁねっ。ここのところ安いのが続いたから、少しはゆっくり楽しめるかしら」
『夢の森病院』院長、如月真弓は振り返りながら、鎖骨に掛かる黒髪を後ろへ払った。その下から細い銀のネックレスをした綺麗な首筋が覗いた。
育ちの良い顔立ちに170センチの長身。縁なしの小振りなメガネを掛け、その奥に光る理知的な眼差しが印象的だった。
「見て、こんなに書類がたまっちゃって、整理が大変。……ねぇ、御堂さん」
真弓は机の端に寄りかかると、御堂と呼ばれたナースの方を向き片膝をたてた。
膝で白衣の裾が割れ、膝上のスカートから太腿が露わになり、綺麗なスラリとした生脚が覗いた。白衣の下に薄いピンクのブラウス。その第2ボタンを外し胸元をくつろげ、タバコを取り出すと火を付けた。
「はい、何でしょう。院長」
御堂と呼ばれたナースが答えた。その目は真弓の脚を見つめ、心なしか潤んでいる。
「時間ある?ちょっと一服していかない?」
その言葉が何を意味しているのか、御堂にはわかっていた。最初からそれを期待して、わざと休憩前に院長室に来たのだった。
「はい、これから休憩ですから……ゆっくりできます」
それを聞くと真弓は御堂の目を見つめ、妖しく微笑んだ。
二人の間に紫煙がゆっくりと流れた。

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女が女をじっくりと、生殺しのまま犯していく。その責めに喘ぎ仰け反る体。それは終わり無き苦痛と快楽の序曲。     
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更新日:日・水・土